Amazon 3Q2018決算の詳細 ガイダンスが厳しいですね〜
1.はじめに
Amazonの決算発表について、データをまとめました。結論から言うとガイダンスが厳しいですね。ホールフーズ買収の関係で、前年比成長率の鈍化が予想されていましたが、今まで順調に伸びてきた営業利益率が低下するのが痛いです。ここ1年位は非常に大きな成長率を叩き出してきたAmazonですが、しばらくは他の成長株と同じレベルの成長率に留まる感じがします。果たして投資家達はどれだけのバリュエーションが適正だと判断するのでしょうか?
私は手放したりはしませんが、Amazonの買い増しはしばらく控えます。
2.業績の推移
(1)全体
↑四半期ごとの売上(黄)、営業利益(青)、純利益(緑)の推移
↑四半期ごとの営業利益(青)と純利益(緑)の推移
Q4 2017より大きく伸びてきてますので、次の決算は成長率の点から見るとハードルが高いです。
(2)セグメント別
↑セグメントごとの売上の推移
↑セグメントごとの成長率の推移。本業のEC事業(青)とマーケットプレイスのThird-party seller services(黄色)の低下が気になります。
↑セグメントごとの売上の推移をそれぞれ棒グラフにすると、青のホールフーズ等の実店舗以外は右肩上がりで成長しています。
↑利幅の高いオンラインセールス以外の売上が全体に占める割合の推移。今回は横ばいでした。
(3)地域別(AWSの売上を除く)
↑北米地域の売上高と営業利益の推移
↑Internationalに区分される地域の売上高と営業利益の推移
現在、アメリカ、カナダをはじめ15の国で営業を展開しています。
(カンファレンスコールでは17と言っていましたが、HPを見ると15になっていました。今季からトルコで営業を開始したようです)
↑それぞれの売上成長率の推移
今回Internationalの売上が芳しくなかったのは、インドでDiwaliというお祭りが昨年は3Qに行われたのが、今年は4Qにずれたためということです。
ディーワーリーの期間中は買物をすると縁起が良いとされ、特に耐久消費財の需要が伸張する。自動車、家電業界などではこの時期をかき入れ時として販売に力を入れる(wikipediaより)
↑総売上高に占めるInternational地域の売上割合の推移です。北米地域で成長鈍化の兆しが見えてきてますので、今後Intarnationalに頑張ってもらいたいところです。
3.問題の4Qガイダンス
売上:$66,500〜72,500M
営業利益:$2,100〜3,600M
このガイダンスの各中央値をグラフに落とし込むとこんな感じになります。
↑売上高成長率が15%へダウン
↑営業利益成長率が34%へ大幅ダウン
↑今まで順調に伸びていた営業利益率と純利益率の推移
創業以来、利益度外視で頑張って投資してきた努力が実って、各利益率が上昇していたのがAmazonへ投資する魅力だったのですが、Q4のガイダンスによると、大きく下がってきてしまいますね。
(2018.10.28追記)
過去2年間を見ると、Q3からQ4へかけて大きく利益率が上昇する傾向が見られましたが、今回は逆に下がってしまいます。クリスマスシーズンでEC部門の売上が伸びて、この部門の利益率が向上するするからだと思われますが、今年は逆にダウンする見通しで、個人的には非常に残念です(あと2年位で営業利益率10%まで行くだろうと予想していました)。
↑売上に占める各費用の割合の推移
今までセールスコストを始め、一番大きな設備投資である配送施設(緑)を始め、テクノロジーやコンテンツ(赤)への支出割合を抑えてきてましたが、人件費の上昇の為か4Qは営業利益率が減ってしまうようです。
カンファレンスコールで4Qの最低賃金アップに関する質問が出てましたが、当然ガイダンスに盛り込んでいるとのことでした。
また、従業員の増員を抑えていることを強調して(2016年+38%、2017年+38%(ホールフーズ分を除く)、今年は今のところ+13%とのこと)、人件費の伸びをできるだけ抑えていることを強調していました。
配送費の上昇が噂されている件については、毎年このような噂が上がるのが常で、宅配業者との粘り強い交渉と配送効率アップで、吸収していくので大きな問題ではないと述べていました。
他の4Qの売上ガイダンスが低かった要因として、サブスクリプションの売上の計上方法が、今まで4Qに計上していた一部の分が、会計方法の変更で1Q〜3Qに振り分けられたことで、売上が約$300M押し下げられたのと、11月中旬から年末にかけて短期間に集中して注文が増える時期になり、予測が難しいとのことでした。
今、AWSと共にAmazonの利益を支えている広告事業については、まだ成長の余地が十分あるとのコメントが出ていました。
4.まとめ
今まで強烈な利益成長率を叩き出してきたAmazonも、さすがに他の成長株と同じレベルの成長率に戻るようです。そうなると、バリュエーションのレベルがどれくらいが適正なのか、しばらく投資家達の模索が続きそうですね。
北米でも成長率が落ちてきています。米国でプライム会員が広く広まって頭打ちの懸念があり、しかも米国の今後の景気動向を考慮すると、来年以降も北米事業の成長が鈍化するかもしれません。今後の課題としては、International地域の成長と売上が下がっているホールフーズのテコ入れですかね。
あとは、AWSと広告事業には今の成長率をキープしてもらって、あらたな利益の牽引役の登場を待ちたいです。
買い増しする場合は、ぐんぐん株価が上がった今までのイメージを一旦リセットして、4Q以降の成長率とバリュエーションを他の企業と比較しながら、慎重に検討した方が良さそうです。
中長期的に見たら、2桁台の利益成長は今後も続きそうですので、私は売らずにホールドし続けます。そして、もし割安な水準だと判断できる状況になったら、買い増しを始めます。
グラフを作成するに当たり、IR情報を見ながらポチポチ数字を打ち込みました。急いで作りましたので、数字に間違いがあったらごめんなさい。また、何の実績もない単なる投資が趣味の素人が書いたブログですので、投資判断は自己責任でお願いします。
ちなみに、私の投資スタイルは以下のブログにまとめてます。