アビオメッド社 Q1FY2019の決算発表 成長鈍化で株価急落 この先は如何に?
(1)はじめに
私の保有銘柄でImpellaという画期的なカテーテル型人工補助心臓を製造販売しているAbiomed社が7月26日に発表したQ1 FY2019の決算についてまとめておきたいと思います。
(2)決算内容
↑凄く良い数字なのですが、プレスリリースをよく読むと純利益が税制改革の影響で純利益が嵩上げされており、その影響を除くとEPSは$0.78となり予想の$0.82を下回ってました。
↑売上成長率が+36%(YoY)、営業利益率が26%で、前期よりもやや成長率が鈍化していました。
↑GAAPの純利益ではなく、税制改革の影響を除いた純利益の推移です。QoQでやや減少しており、成長率(YoY)が147%→76%へ鈍化していました。
↑こちらは税制改革の影響を除いたEPSの推移。
↑参考までにGAAPのEPSの推移です。
カンファレンスコールからの主な情報は以下のとおりです。
(3)ガイダンス
↑今年度の年間売上のレンジの下限が$740M→$755Mへ引き上げられました。成長率が+27〜30%で営業利益率が28〜30%となっています。
↑過去5年間の売上成長率(対前年比)の推移ですが、今回のガイダンスの+27〜30%は成長率が結構ダウンしますね。
↑赤の折れ線グラフが過去6年間の営業利益率の推移ですが、ガイダンスの28〜30%という数字は引き続き上昇していい感じです。
↑右下のU.S.の病院での普及度合いを見ると、使用が見込まれる1400病院中、主力製品のImpella2.5とImpellaCPが1200病院以上まで普及しています。より血液の送液量が多いImpella5.0と右心房に挿入するタイプのImpellaRPの普及率の上昇に期待したいですね。
また、Q2はシーズン的に医師の夏休み等で売上は良くないとのことでしたので、Q3もあまり期待できないかもしれません。
(4)まとめ
↑EPSがコンセンサスを下回り、成長鈍化も嫌気されて決算後は株価が−20%まで下がりました。
画期的な製品でライバル社もまだないためかなり期待が高かく、一時期はPERが165倍まで上がってました。今は株価も下がり、かつ税制改革のおかげで純利益が凄く伸びましたので現在はPER100倍です(2018年8月5日現在)。
今はやや盛り返してきてますが、50日移動平均線(赤線)を超えてくるかどうか、成長率が再加速する材料がないので、なんとも言えませんね。
成長率が再加速するポイントは
- Impella5.0、ImpellaRPの販売が伸びる。
- U.S.でImpellaを使用する患者数の伸びが加速する。
- 以下のように成長率が高いが、まだ売上比率が低いU.S.以外の地域の売上比率が上がってくる。
だと思います。
心筋梗塞等で緊急に血流を確保する場合、大腿動脈を体外のポンプに繋ぐよりも、カテーテル型人工補助心臓を大腿動脈から心臓内部に挿入して血液を送液した方が血液の流れが順行になり、心臓の負担が少ないと言われています。よって、製品自体は素晴らしく今後世界的に広まっていくと思います。
36th Annual J.P. Morgan Healthcare Conference Presentationより
http://investors.abiomed.com/static-files/43737399-6441-4306-905f-4875390eeae5
今回、インドで主力製品のImpella2.5とImpellaCPが承認を受けたと発表されました。中国でも承認を得ています。人口10億人を超える両国も心筋梗塞の患者が多そうですよね。
↑気になるライバルはSt.Judeの子会社であるThoratec社が開発した製品(商品名HeartMate PHP)がようやくEUで承認が取れたとのことです。アメリカではまだ承認取れていません。これから各国で承認を取り、医師に製品の性能と信頼性を認めて貰わないと広まりません。
日本では、アビオメッド社のImpellaが日本で承認を得たことを受け、医学会にこのような部会ができています。心臓外科医の方々がここでいろいろImpellaに関する情報を仕入れて技術をマスターして、徐々に広まって行くわけです。もうすでにアメリカの多くの病院で使われているアビオメッドのImpellaに追いつくのはまだまだ時間がかかると思います。
私はもしこの先、50日移動平均線に跳ね返されて、ダウントレンドに入ったら、タイミングを見て買い増ししようと考えています。
↑しかし、成長率が増々鈍化してPERが35倍まで落ちてしまうと、たとえEPSが+30%/年で成長を続けても、今の株価水準($377 2018年8月5日現在)で買ったら、5年間保有してもマイナスになることは覚えておいて下さいね。
数字は間違いがないように気をつけてはいますが、絶対ではありません。本ブログは投資を単なる趣味とする素人が書いたもので、内容は保証できません。投資は自己責任でお願いします。
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