金利が上がると株価はどうなるのか? 金利と株価の関係について
現在、米国長期債の金利は2.26%くらいなんやな。https://t.co/sZKVz2fjf4
— 個人凍死家テリー (@Frozen_Telly) 2017年8月5日
米優良株の配当利回りが3~5%とか言ってるんだが、これから「キャピタルゲイン狙わず」にインカムゲインを狙うって言う戦略なら債券のほうがいいよねw#債券も今後価格下がりそうだが
このツイートを見た時に「あっ!」と思ったので、金利と株価の関係についてブログにまとめてみました。リーマンショック後からの長い金融緩和政策のお陰で、米株は順調の伸びてきました。利上げは2年前から行われてきましたが、非常にゆっくりとしたペースですので、株価にはほとんど影響を与えてません。もし今後、下の日経新聞の記事のとおり米国債バブルが正常化して金利が急騰したら、株価はどうなるのでしょうか?
米国債はバブルか FRB、来月にも資産圧縮 市場、金利急騰を警戒(8月6日 日経新聞朝刊)
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170806&ng=DGKKZO19705340V00C17A8EA2000
【目次】
1.株価に金利が与える影響
田渕直也著「投資と金融にまつわる12の致命的な誤解」のp56に理論株価の計算式がありました。
この公式でのr(金利)の数字は超長期の国債金利を用いるようです。
たとえば、EPS:100円、r:3%、g:3%、p:5%で計算すると理論株価は2,000円になります。
当たり前ですが、理論株価は分母が大きくなるほど小さくなりますので、r(金利)の上昇は株価を下げる要因になります。
r(金利)の上昇を打ち消すにはg(EPSの期待成長率)が上がるか、p(リスクプレミアム)が下がる必要があります。
本書によると長期金利は経済全体の期待成長率に近い値に決まるとされています。よって景気に左右される市況株や金融株は、景気上昇に伴う金利上昇局面の初期ではg(EPSの期待成長率)が上がりますので、強い株になります。
反対に、ディフェンシブ銘柄と呼ばれる不況に強い銘柄は、g(EPSの期待成長率)があまり上がらず、株価が軟調に推移することになります。
2.金利はどこまで上昇するのか
エネルギー価格の低迷や賃金の伸びが弱いこともあって物価上昇は問題無いレベルですが、世界の主要都市で不動産価格がかなり上昇しており、各国の中央銀行はそれを押さえたいと思っています。
21世紀に入ってから、先進国では長期金利が昔ほど上がらなくなりました。IT革命やグローバル化による影響だと言われています。
ベン・バーナンキがFRB議長の時から始まりましたが、今は各国の中方銀行が金融政策のフォアードガイダンスをするようになって、昔みたいに突然の利上げ発表もありませんので、株価が急に大幅な調整をすることはないと思いますが、MarketHachの広瀬さんがダウが$17,000台まで下がると予想していることから、油断はできないと思います。
3.今後の対応の仕方は?
自分の保有している銘柄のgとpが金利上昇でどうなるか予想しておく
業績低迷のため低成長で、負債が嵩んでいる銘柄は、r(金利)だけでなくp(リスク・プレミアム)も上がりますので、金利上昇の悪影響をもろに受けるため要注意です。
ハイテク株などのEPSが今成長している銘柄も、もし成長率が鈍化すればgが下がり、分母が大きくなりますので、要注意です。
今後EPSが更に成長していくと予想される銘柄(銀行株や市況株など)が安泰だと思います。
自分の投資スタイルを見失わない
ディフェンシブ銘柄で配当を累積投資している人は、長期的に見たら買い増しするチャンスになりますので、株価が下がって含み損が大きくなっても、自分のルールに従って淡々と買い増しして行くべきだと思います。ただその企業が今後も成長し続けるかどうかはよく吟味する必要があると思います。
ポートフォリオのリバランスや組み換えをする
ダウも新値を更新し続け、含み益を多く抱えている人も多いと思います。ここで一旦利益確定して、自分のポートフォリオを見直してみるのもいいかもしれません。米国債が売られたら、その巨額のマネーが次にどこへ向かうのか、米国以外にも欧州や新興国など幅広く目を向けて投資先を再検討するもの一考だと思います。
4.金利が上昇していた時代の米株相場の状況を勉強してみるのもおすすめ
日本は長い間利上げをしてませんし、リーマンショック後から米国株に参戦しましたので、私は利上げ局面での株式相場を経験していません。若い投資家はみんなそうだと思います。よって、利上げ局面で景気や株価がどう動くのかを勉強しておくのも大事だと思います。
私は昨年、グリーンスパンの「波乱の時代」を読んで勉強しました。1987年にFRB議長に就任して、2ヶ月半後にブラック・マンデーが起きて株価が暴落しました。それから21世紀に入って、2006年の住宅バブル崩壊前に退任するまでの米国経済の歴史がこれ一冊で知ることができます。中古で買うととても安いので、コスパは最高です。厚い本ですので、とりあえず上巻だけ買って読んでみて下さい。上巻だけで在任中の米国経済の流れを掴むことができます。
次に余裕があれば、リーマンショックの時のFRB長官ベン・バーナンキが書いた「危機と決断」もおすすめです。これを読むとリーマンショックが金融崩壊を招く一歩手前まで行っていたかが良く分かります。読んでいて背筋が凍りました。そして、自分の中で最悪の状況を理解しておくと、少々の景気が悪くなって株価が下がっても動じなくなり、また何年か我慢すれば元に戻るだろうと楽観的に考えられるようになると思います。
おまけで、最後にこの本は凄く参考になりました。我々が誤解しやすく、しかも説明しにくいことを素人向けにわかりやすく解説してくれてます。今まで3回は読んだかな
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