Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

好決算でガイダンスが引き上げられても株価が下がったHubSpot その理由は?

1.はじめに

このブログで取り上げさせて頂いたマーケティング・オートメーションで有名なHubSpot(HUBS)が11月1日の引け後に決算発表を行いました。

 usmarket.hatenablog.com

SeekingALPHAによると売上、EPS(NonGAAP)ともに予想以上で、NonGAAPでは見事黒字化しました。

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そして2017年通年のガイダンスが以下のとおり引き上げられ、株価は絶対上がるだろうという好決算でした。

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引用元HubSpot Reports Q3 2017 Results | Seeking Alpha

今のTTM(Trailing Twelve Months)の売上が346Mですので、このガイダンスは素晴らしいと思いました。

 

しかし、翌日11月2日の株価は下落から始まり、その後盛り返しましたが、結局下げて終わり、翌11月3日も下げて終わりました。

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好決算なのに株価が下がるケースがこのQ3では多いような気がしましたので、今回詳しく調べてみました。

 

余談ですが、いつもお世話になっている著名な医師兼個人投資家の方に触発されて年間$399払ってGuru Focusのプレミアム会員になってしまいました。四半期決算はもとより細かいデータが手に入るので今回詳細な分析をすることができました。便利なサイトですが、元が取れるか不安です(笑)(1年前だったら、年会費の何倍〜何十倍?もの利益が上げられたと思いますが、今から買ってもどうですかね?)

Value Investing | Market Insight of Investment Gurus

 

2.業績の推移

今回、四半期ごとの推移を細かく調べてみました。EPS以外の単位はMillionsになります。なお、今回HubSpot社はNonGAAPで黒字化しましたが、GAAPでは依然として赤字のままです。

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↑売上(青)は6.7%のペースで伸びてますが、営業利益(緑)、純利益(黄)の赤字幅は少し広がっていました。

 

赤の折れ線は対前年同期比で比較した売上成長率です。

(%表示しているのですが、こちらにコピーするとなぜか元の数字に戻ってしまいます)

売上は伸びてますが、伸び率が加速しているわけではないことが分かります。

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↑一般的に使用されるGAAPでの希薄後EPSの推移ですが、2期連続でマイナス幅がやや広がっている傾向が見られました。

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↑営業マージン(青)と純利益マージン(緑)の推移ですが、改善傾向は見られませんね。

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↑営業利益が黒字化しないのは、販売管理費が上がっているためで(特に販売費の影響が大きい)、Q3では伸び率が上昇していました。

※Gurufocusでは販売費と一般管理費の合計しか出てきませんので、販売管理費としてグラフ化しました。

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↑売上に占める販売管理費の割合の推移ですが、今年3月の段階で約73%まで下がったのですが、ここ2期連続で微増しています。

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↑新規顧客数(青)、1顧客当たりの売上(緑)、1新規顧客当たりのセールスマーケティング費の推移です。

 

新規顧客は2期連続でほぼ横ばいなのに対して、セールスマーケティング費が伸びているため、新規顧客一人当たりのセールスマーケティング費が伸びてしまってます。

 

また、顧客一人あたりの売上もほぼ横ばいです。もし新規顧客数が減少すれば頼みの売上高の上昇率が減少してしまうことになりますね。

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↑一株当たりのフリーキャッシュフロー(青)と営業キャッシュ・フロー(緑)の推移ですが、1年前と比べてほとんど伸びてませんね。

 

3.まとめ

HubSpot社はSaaSSoftware as a Service)のビジネスモデルで、一度顧客を掴んでしまえば毎月一定の売上が期待できるため、いかに新規顧客を掴むかが肝です。しかし、顧客獲得コストが上昇してきていますし、新規顧客数も拡大傾向ではありません。これはライバル競争が激しいことを表していると思います。

 

こうやって、決算内容を詳細に見てみると、ガイダンスとおりにEPSが伸びるのか不安になってしまいますね。それが、株価に影響を与えているのだと思います。

 

グロース株の場合、今は特にバリュエーションが高くなっている分、成長が鈍化したら売りの材料になりますので、ここらへんはシビアです。

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↑Gurufocusではこのような比較が出来ますので、このブログで取り上げた赤字企業で比較してみました。

 

HubSpot社は赤字企業のバリュエーションの比較でよく用いられるEV/Revenue(赤線)も他社に比べて高くなく、Gross Margin(緑線)は一番良く、3year Total Revenue Growth Rate(3年間の売上成長率、水色線)も良いです。NonGAAPでも黒字化しましたし、この比較表を見ると思わず買ってしまいそうですが、ここは様子見ですね。

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↑HubSpotの日足チャートです。今のレンジをキープできるかな?

 

アリババも決算良かったですが、その後売られてますし、最近グロース株に対して、見方がシビアになってきている?と感じています。

 

ここらが天井がどうか慎重に見極める時期に来ているのかな?と内心ビクビクしています(笑)。