Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

黒字化が視野に入ってきたMA(マーケティング・オートメーション)業界で注目されている米企業HubSpot(ハブスポット)社 

1.はじめに

今回も著名な医師兼個人投資家の方から、マーケティングオートメーション(MA)で有名なハブスポット社がもうすぐ黒字化しそうで面白そうだよと教えて頂きましたので、調べてみました。売上は+35%のペースで伸びており、財務状況が今年に張ってから急激に改善してますので、11月1日引け後に発表予定の3Q決算が楽しみな会社です。時価総額が3.2Bしかありませんので、株価の動きは激しいと思います(笑)。

 

2.ハブスポット社(HUBS)とは

オンラインでマーケティングする際に、HPを始めとしてブログやSNSなど、さまざまなオンラインツールを使うと思いますが、見込み客を惹きつけてから顧客とするまでどうしたらいいのか、素人にはなかなか分からないですよね。それを以下のように一連のサービスをパッケージして提供している会社がハブスポット社です。

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(出典:ハブスポット社のHP)

中小企業をターゲットに、どうしたら見込み客を集客でき、メールアドレスを得られるか、そしてどうアプローチして自社商品を勧めて、買ってもらうかを以下のようなパッケージにしてサブスクリプション形式で販売しています。

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(出典:ハブスポット社のHP)

ハブスポット社は創業者であるブライアン・ハリガン(CEO)とダーメッシュ・シャア(CTO:最高技術責任者)の2人がマサチューセッツ工科大学(MIT)で2004年に知り合った後に、2006年6月に設立された会社で、2人が以下の本を出版して日本でも脚光を浴びることになりました。

 以下のサイトに当時の状況が詳しく書かれています。

日本にも上陸。インバウンドマーケティングとHubSpotとは何か?

インバウンドマーケティングを調べてみると、これについて書かれたHPが沢山でてきて、今注目されていることが伺えます。

 【図解】インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い | プロモニスタ

インバウンドマーケティングとは? 5分でわかる総論と実践のポイント :: 株式会社イノーバ

池田ハヤト氏もブログで取り上げていました。

B2Bインバウンドマーケティング成功事例(Salesforce)—eブックのDL数は1万回以上 : まだ労働で消耗してるの?

  

 

大企業相手だとセールスフォースやオラクル、マイクロソフトなどとの競争が激しいので、ハブスポット社は中小企業をターゲットにしています。

日本だと大企業と呼ばれる会社が1万社程度に対して、中堅・中小企業は400万社もあると言われており、マーケットは大きいと思います。

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↑ハブスポット社の売上は米国が70%を占めています。

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顧客は90カ国で34,000あり、パートナー経由での販売もしており、そのパートナーは3,400社あります。日本では65%が直販、35%がパートナー経由での販売のようです。「インバウンドマーケティング 企業」で検索するといっぱい会社が出てきて、最初はライバル多いな〜と思っていましたが、これらの会社のHPをよく見るとハブスポット社のシステムを販売しているところが多くびっくりしました。

 

3.ハブスポット社の業績

 

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↑単位はmillionsです。売上は年率+35%のペースで伸びていますが、まだ赤字が続いている状態です。粗利益率は右肩上がりで今は約80%あります。

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↑単位はmillionsです。昨年より営業キャッシュフローがプラスになり、Q2’17までの連続4四半期(TTM)は営業キャッシュフローが大きく伸びてきています。フリーキャッシュフローもプラスに浮上してきています。

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↑単位はmillionsです。支出では緑の販売管理費が大きく赤字の原因となっています。年率33%のペースで伸びています。

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グロスマージンはQ1'17の段階で80%まで上昇しています。S&M(セールス&マーケティング)がコストの半分以上を占めていますが、徐々に低下してきています。営業マージンはQ1'17に+2%と始めてプラスになりました。

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↑2017年6月30日時点でのバランスシートですが、流動比率も十分高くて負債は問題ないと思います。

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↑半年前の2016年12月31日時点でのバランスシートです。比較すると今年になってバランスシートが非常に強固になっているのが分かります。

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↑総顧客数の推移です。こちらは直近の4四半期の推移になります。+7.7%のペースで伸びています。

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↑直近の4連続四半期の新規獲得顧客数(青の折れ線)、顧客一人当たりの売上高(緑の棒グラフ、無料会員も含む)、新規顧客一人あたりのセールスマーケティング費(オレンジの棒グラフ)をグラフにしました。

 

MAの世界もライバルが多いですので、今後も順調に顧客獲得を伸ばしていけるどうか、これを見るとちょっと不安になりました。

marketingautomation.ne.jp

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↑各四半期当たりの新規顧客一人あたりのセールスマーケティング費を顧客一人あたりの売上高で割った数字の推移です。新規顧客を一人獲得するのにかかった費用の回収期間を表しています。Q2'17で6.38ということは獲得コストを回収するのに6.38四半期かかりますということです。これも今後どのように推移していくでしょうか?

 

売上は順調に伸び、営業マージンもプラスになり、バランスシートもしっかりして、この企業は安定成長期に入ってきたと思いますが、この最後の2つのグラフからライバル競争が激しいことが伺えました。

4.株価の推移(11月1日訂正)

※当初アップしたチャートは間違ってshopifyのものでしたので、11月1日に訂正いたしました。申し訳ありませんでした。

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↑週足チャートです。

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↑日足チャートです。レンジを形成して推移してます。今度の決算が良ければ上振れしそうです。

 

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11月1日引け後がQ3の決算発表です。Q2で発表されたガイダンスは右のオレンジになります。左右を比較すると前回の決算ではガイダンスが引き上げられていることが分かります。Q3はどうなるでしょうかね?

5.まとめ

創業者はインバウンドマーケティングという概念を提唱したMA業界ではリーディング企業の一つだと思います。今年になりバランスシートもしっかりし、営業マージンもプラスに浮上してきて、黒字化も視野に入ってきました。今年ベルリンに7つ目の拠点も開設しています。それに基づき株価も今年に入ってからブレイクし始めています。

 

しかし、ライバルも多いですので、成長をさらに加速させれるかどうか微妙な点も感じました。今後どうなるか静観したいと思います。

 (Q2'17のEarning callで米国での顧客の伸びが低下しかことが質問されており、ヨーロッパやアジア市場がまだ始まったばかりで、海外拠点の設置(シンガポール、オーストラリア、日本、ドイツ、アイルランド)やソフトの多言語化(5ヶ国語)をすでに行っており、米国以外からの売上を伸ばすことに力を入れていく回答していました。)

 

HubSpot | Inbound Marketing & Sales Software

↑ハブスポット社のHP

HubSpot Inc. - Investors - Investor Overview

↑IRのページ

http://s2.q4cdn.com/235752014/files/doc_presentations/2017/AnalystDay/Financial-Overview-9.27.2017.pdf

↑参考にしたプレゼン資料