Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

Eコマースのもう一つの巨頭 アリババ(BABA)について

 

1.アマゾンは凄いけど・・・

アマゾンの事業内容はみささんよくご存知だと思います。直販の「Amazonプライム事業」、楽天市場の様に出品者に場所を提供している「Amazonマーケットプレイス」、一般的には目立ちませんが、一番の稼ぎ頭のクラウド事業「Amazon Web Services(AWS)」 が3本柱になります。

 

アマゾンの欠点は設備投資し過ぎて純利益が安定しないことです。最近はAWSの利益が好調で予想を上回る好決算を出していましたが、今回の2Qは売上こそ前年同期比+25%で順調な伸びでしたが、EPSが予想$1.42のところ$0.4という、まさかの数字で久々にみんなを失望させました。また悪いクセが始まるのでしょうか?

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↑アマゾンの決算資料にはいつも最初のスライドにフリーキャッシュフローが出てきて「Long-Term Goal  Optimize Free Cash Flows」と書かれています。長期的なゴールはキャッシュフローを最大化することらしいです。利益は完全に無視してますね(笑)。

 

アマゾンは送料無料、プライム会員になればビデオや音楽が無料という至せり尽くせりのサービスで、地方の田舎に住んでいる私はすっかりアマゾンエコノミーの住人となっております。いずれ世界を席巻するだろうとは思いますが、こう利益が安定しないと株を買うのを躊躇してしまいます。

 

2.アリババとは

上の本によりますと、アリババの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏はもともとは大学の英語の先生でしたが、1995年に視察団の通訳として米国へ行った際にインターネットに出会い、帰国後は大学を辞めて、知識も技術もまったく無いのにHPの制作会社を始めたそうです。

 

1999年に17名の仲間とアリババを創業し、2000年にソフトバンクの孫さんから$2,000万(約20億円)の出資(本当は1〜2億程度でよかったらしい)を受けて、今日の成功を掴みました。

 

2003年にインターネットモールタオバオを始めました。アマゾンの直販スタイルとは違い、楽天モールと同様、出店者に場を提供する市場スタイルです。2004年にはアリペイという決済システムを開始してます。現在では中国のモバイル決済の8割を占めているようです。

www.itmedia.co.jp

中国でEコマースやモバイル決済が急速に広まった背景は、信用できるシステムだからだそうです。騙されたり偽物を掴まされることが多い中国で、ITの力により相対的に信頼度の高い商取引できる仕組みを最初に作ったのが馬氏だそうです。

 

ただ実際にはタオバオで騙されることもあるらしくて、中国人はチャットでお店の人に頻繁に問い合わせをして信頼できるか確認しながら購入しているようです。そこで、信頼できるお店を集めたTモール(天猫)という別のサイトも行っています。Tモールは日本企業も出店していて、おむつとか人気のようですね。

 

3.アリババの凄いところ

2017年5月31日に行われたアリババINVESTER DAYの資料を見てたらアリババが凄いことに気付きました。

http://www.alibabagroup.com/en/ir/investorday

(1)年間の一人あたりの購入頻度と金額が凄い

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オレンジ:年間平均注文数  

青:顧客一人あたりの年間平均購入金額

一番左の2016年に顧客登録した人の年間注文数の平均は38回、年間購入金額は3,000人民元(約49,500円)近くでした。顧客登録してから年数が経つにつれて購入回数と購入金額が増えていき、5年目の人だと年間123回も注文して、12,000人民元(約198,000円)も使っているようです。中国人の購買力恐るべし!

(2)モバイルの売上が凄い!

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モバイルからの注文が凄くて、今や取扱高(グロス売上)の79%がモバイルからの注文です(ネット売上だと80%)。MONETIZATION RATE(取扱高に占める利益率)もPCを逆転して3.04%まで伸びてます。ただ、アリババはこのMONETIZATION RATE(Take Rateともいう)が弱くて、日本の楽天なら約7%、米国のeBayなら10%弱あります。ここが今後の課題であり、まだまだ伸ばせるポイントだと思います。

シバタナオキ著MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣p25より引用

(3)コアのEコマースのEBITDAマージンが高い

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2015年6月からずっと59%〜65%の間をキープして、高い利益率を誇っています。アマゾンとは比べるまでもなく優秀です(当然、アマゾンの戦略を考慮すると一概には比べられませんが)。

 

4.アリババの事業戦略

(1)販売手数料だけでなく広告やカスタマーサービスで稼ぐスタイル

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アリババのコアの収益源はネット広告で、得意のモバイルだと中国のモバイル広告市場の約40%を占めているようです。

ニュース - 中国Alibaba、モバイル広告市場でシェア拡大へ、米市場調査会社の調査:ITpro

タオバオは出店料と販売手数料が無料で広告で稼ぐモデルのようです。Tモールは出店料と販売手数料をとってますが、販売手数料は1%しか取ってないようですので、値上できる余地はあると思います。

アリババを25兆円企業にした「大フリーミアム」モデルは、競合と何が違うのか?~「ビジネスモデル全史」【特別編1】 | 三谷流構造的やわらか発想法 | ダイヤモンド・オンライン

なお、タオバオはC2C(消費者間取引)でTモール(天猫)はB2Cになります。詳しくは以下を参照して下さい。

タオバオとは? タオバオ(淘宝)イーウー(義烏)の輸入代行 アローフィールド

 

(2)クラウド事業

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アリババもクラウド事業を行っています。Invester Dayの資料だとアマゾン、マイクロソフトIBMについで第4位だそうです。

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順調に売上を伸ばしてますが、まだ利益は出ていません。でも、この調子だと来年あたりは黒字事業になるかもしれませんね。

(3)エンターテイメント事業

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アマゾンの後を追ってますので、プライムビデオのようなサービスも展開しています。アリババ・エコノミーシステムを発展させるには、ここも充実させていかなければならないのでしょうが、コンテンツを買うのに初期投資がかなり嵩みますので、投資家としてはいやですね。

5.まとめ

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アリババのモバイルシフトは凄いですね。動画で商品を紹介したりしてかなり頑張っているようです。楽天の決算資料もチェックしましたが、そこら辺の資料は出してませんでした。

 

注文数が多いのも驚きでした。販売品で日用品・雑貨の割合が22%(2013年9月時点 週間東洋経済 アリババの正体より)もあるようで、中国人は日用品もネットで気軽に買っているみたいです。日用品ECは利用頻度と継続率が高いので、広告で稼ぐモデルだとここも一つの強みだと思います。楽天も2016年に89億円で爽快ドラックを買収して日用品部門も組み込んでましたね。

 

気になるのがアマゾン同様エンターテイメントにも力を入れていることです。ただ、今のところ数字には問題ありません。

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順調に売上、営業利益、純利益も伸びてます。2016年の純利益は何か投資利益で52,254M人民元(青線)の大きな収入があったようなので、特別に増えてます。

 

2017年の2Qの決算発表は8月17日の寄り付き前です。楽しみですね。私は昨年の9月から注目してましたが、結局買えずじまいで、スルスル株価が値上がりするのを指を加えて見ておりました。

アリババ(BABA)は8月末に絶好の買い場を迎えたのだが・・・ - Hang in the US MARKET

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こんど12日にお話を聞きに行く有名な投資家さんの推薦書です。やはり、こういう硬派な本読んでおかないとアリババのような成長株は思い切って買えませんよね〜

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