FinTech銘柄Square(スクエア SQ)の2Q2017決算 好決算だが買収否定で株価下落
今年の第1四半期の決算の中でMarketHackの広瀬さんが一番注目した小型ハイテク株であるスクエア(SQ)の第2四半期の決算発表が8月2日にありました。とても良かったですが、3%以上売られました。7月に入ってから買収される噂で株が買われていたのですが、カンファレンスコールでの質問で経営者が独自路線を貫くと買収を否定したためです。これは買いのチャンスか?とスクエアについて調べてみました。
【目次】
スクエアの特徴
スクエアはデジタル決済のパイオニアで店舗向けの決済端末を提供しています。導入が簡単で、しかも店舗側が支払うカードの決済手数料が安く(日本だと3.25%(JCB除く))、入金が早い(2営業日)のが特徴です。現在は米国、カナダ、日本、オーストラリア、イギリス、アイルランドで事業展開しています。
決済をベースに以下の写真のような小売店が必要な様々なサービスを提供して成長している会社です。
一つ一つ手間を掛けてしていたのを、下の写真のようにアプリで一つにまとめているのが特徴です。
↑このアプリはiPhoneのビジネス・アプリケーション部門で第6位あたりをキープしています。ちなみにペイパルは57位です。スクエアはこれらのサービスを決済手数料以外は全て無料で提供しています。
↑スクエアは決済スピードの高速化にも力を入れていて、一般的なクレジットカード読取機よりもかなり早いです。
↑また、小売店に対して融資もしています。融資先の売上状況をリアルタイムで監視できるので、銀行が貸さないようなお店にも融資できるのが強みです。ローンデフォルト率は4%以下のようです(2017年3月31日現在)。
取扱高を売上収益で割ったテイクレート(%)は3.36%あります。ちなみに2015年度の三菱UFJニコスカードは1.94%、2016年度のクレディセゾンカードは2.77%だったそうです。
シバタナオキ著「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」p75より引用
スクエアの第二四半期決算内容
↑純利益はまだ赤字ですが、それ以外は順調に伸びています。
広瀬さんが絶賛した第一四半期と比べて、グロス・ペイメント・ヴォリューム(GPV、取扱高)は伸びてますが、前年同期比での成長率は33%→32%へやや鈍化していました。トータル・ネット・レベニュー(売上収益)の成長率は22%→26%へ伸びてます。
↑スクエアはスモールビジネスをターゲットとしてますが、一番左のグラフを見ると年間売上$5000k(約6000万円)以上の割合が増えてきています。真ん中はスターバックスが2016年第4四半期中にスクエアの利用を止めましたので、その要因調整後の売上収益、右は同じく調整後のEBITDAになります。売上収益の伸びは第一四半期が+36%だったので、+36%→41%へ伸びてました。
↑利幅が大きそうな融資額の伸びです。前年同期比で+68%でした。利益率が知りたくて調べたのですが、残念ながら見つけられませんでした。
決済における売上収益率(2.94%)と利益率(1.04%)には大きな変化がありませんでした。
まだ、純利益は赤字ですので、気になる支出項目の動きは以下のとおりです。
製品開発費用 $78m(前年同期比+14%)
セールス及びマーケティング費用 $60m(同+53%)
管理費 $63m(同+24%)
決済・融資の損失 $18m
スクエアの今後の成長戦略
カンファレンスコールではまず、融資額の伸び(+68%)について強調してました。決済手数料よりも利幅がいいはずですので、ここがもっと成長すれば、更に期待が持てます。ちなみに、融資事業は米国だけしかまだやっておりません。 あと、個人へのクレジットカードサービスも始めたようです。
そして今、スクエアが力を入れているのがオートメーション化で、現在では加盟申込みの90%以上が自動で承認されているようです。個人のクレジットカードも郵便番号とemaiアドレスが電話番号で申請できるようなので、凄い進化ですね。
スクエアは個人が経営するような店舗をターゲットにして、簡単、便利、低コストの決済サービスを展開し、それをベースに付加価値のあるサービスも展開しようとしています。この市場は非常に大きいですので、当然まだまだ成長して行くと思います。
当然、美味しい市場にはライバルが多いわけで、一番は設立されてから20年たつ老舗のペイパルでしょうか。ペイパルの第二四半期もトータル・ペイメント・ヴォリュームが$106Bとスクエアのずっと先を行っていて、しかも前年同期比+26%の成長率でした。今は土俵がネット店舗とリアル店舗で違いますが、何処かで重なってくるかと思います。また、個人レベルの小売店をターゲットにしていることから、そこへリーチするためにマーケティング費用が伸びてますので、ここらへんが純利益を圧迫している一つの要因かと思います。
スクエアのCEO兼会長はジャック・ドーシーでツイッターの創業者兼CEOでもあります。ツイッターは苦戦してますが、こちらは上手く行ってますね。
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