GEについて(その1)
1.はじめに
GEが3Q決算で大幅な赤字と減配を発表し、株価が9%下がりました。その後もJPモルガンが目標株価を$6と発表して株価が5.7%下がり、11月9日終値で株価は$8.58となっています。私も決算後、$9.99でエントリーしましたので、現在−14%の含み損です。
これから年末に向けて、税金対策で損切りが増えてくる時期になりますので、サプライズニュースが出てこない限り、なかなか上がることが無いかもしれません。
この間に、更に買い増しをするかどうか判断するためにGEに関する情報をチェックして、ブログにまとめて行きたいと思います。
2.これまでの業績の推移
とりあえずGEキャピタルは除いて、メインの工業部門について2017年のアニュアルレポートから数字を拾ってグラフを作りました。
(1)工業部門の売上
↑工業部門のセグメントごとの売上の推移。2017年までは売上に関して問題は無かったです。
↑問題の今年の状況です。3Qまでの9ヶ月間の売上を昨年の同時期(左)と並べてみました。
一番下の青のPOWER部門は売上が下がってますが、真ん中の黄色のOIL&GAS部門の売上が伸びていて、売上は前年比で少し増えてますね。
↑分かりやすいように売上増減率をグラフ化してみました。POWERを始めとして、4部門で売上が下がってますね。
(2)工業部門の利益
↑昨年はPOWER部門(青)とOIL&GAS部門(黄)の利益が大きく下がってました。
↑今年のこれまで9ヶ月間の状況です。下の青(POWER部門)が見事につぶれてますね。
※この数字は3Q決算の10Qから拾ってきましたが、2017年のLIGHTING部門の数字が何故かはいってませんでしたので、抜けています。
↑10QではSegment profitと表現されていて、多分営業利益のことを指していると思いますが、その前年同期比の増減率をグラフにしました。
(3)各部門の利益率の推移
※ここの利益率の数字は、2017年アニュアルレポートp6〜7に載っている各部門のRevenuesとProfitの数字から計算したものになります。
↑2015年から2017年までの、各部門における利益率の推移。
点線のPOWER部門(青)とOIL&GAS部門(黄色)の下落傾向が目を引きます。
↑今年の9ヶ月間の状況です。3Q決算で発表された10Qに出ているセグメントごとのREVENUESとPROFITから計算した数字になり、10Qに載っているSegment profit marginと異なります(若干の違いしかありませんので、問題ないと思います)。
右肩下がりはPOWER(青)、RENEWABLE ENERGY(緑)OIL&GAS(黄)の3部門です。
(4)キャッシュ・フロー(CF)
↑2015年からの営業CFの推移です。2015〜2017年は2017年の10Kに載っているNonGAAPの数字を、2018年の数字は今回の10QにNonGAAPの数字が見当たりませんでしたので、GAAPの数字を参考までに入れました。
青の「工業部門」からのCFに加えて、主にGEキャピタルからの配当が含まれる「その他」からの寄与も大きかったですね。GEキャピタルは業務縮小中で、2017年から配当が少なくなり、今年は今のところ赤字ですので、配当無しになってます。また、将来的にも配当は期待できないと10Qに書いてありました。
↑参考までにGEキャピタルからの配当の推移
↑フリーCFの推移です。こちらは2018年の数字(今年9ヶ月間)もNonGAAPになります。
↑配当支払額の推移です。
2017年で見れば、GEキャピタルからの配当$4Bを差し引くと、GEは正味$4.4Bの配当を出していたことになります。
配当銘柄の中には、業績が苦境に陥ったら借金してまで配当を維持するところがありますが、GEは早々とギブアップしましたね。
↑バランスシートの長期負債額の推移(GEキャピタル分は除く)
今年の3Q時点では減ってました。
(なぜ、2015年に負債が$70Bも増えているのかは、2015年の10kを見てもよく分かりませんでした)
でも今振り返ると、この年は2001年来からGEの利益に多大な貢献してきたGEキャピタルの事業縮小決定と、今、大きく足を引っ張っているPOWER部門の拡大を狙ったAlstom社の買収完了とで、今の醜い株価を招いた節目の年でしたね。
次から、問題の部門のPOWERとOIL&GAS部門、あとGEキャピタルについて調べて行きたいと思います。
https://www.ge.com/investor-relations/sites/default/files/GE_AR17.pdf
↑2017年アニュアルレポート(10k)
https://www.ge.com/investor-relations/sites/default/files/ge_webcast_10Q_10302018.pdf
↑2018年3Qの10Q
↑キャッシュ・フローの基本を知りたい方におすすめ。今回、GEを調べるためにハワードマークスの新刊を読むのを後回しにして、こちらを再読しましたが、新たな気付きがたくさんありました。
先週、JPMが目標株価を$6と発表した時に、GEは「ファンダメンタルズ的に強い」と声明を出しました。今回のブログを書くにあたって10kや10Qをいろいろ見ましたが、この本に書いてある倒産前の兆候をチェックしたら、確かにまだまだ問題ないと思いました。
↑キャッシュコンバージョンサイクルの延長はなく、逆に抑えて来てますね。(データはgurufocusより引用)
↑支払いを伸ばす兆候もまだ大丈夫な感じです。