Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

手術ロボットのリーディング企業「インテュイティブサージカル」は安定成長期に入っている

 1.はじめに

前回に続き、今回も手術ロボットの企業を取り上げます。Intuitive Surgical社(NASDAQ:ISRG)は手術ロボットの世界ではトップ企業で、その成長ぶりは素晴らしいですので、今回取り上げてみました。

 

2.Intuitive Surgical社と手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ

主力製品はダ・ヴィンチという手術支援ロボットです。内視鏡手術の発展型で腹壁に小さな穴をいくつか開けて、細いロボットの腕先を腹腔内に入れて処置を行うことができます。

f:id:gyutaro75:20171025200628p:plain

da Vinci サージカルシステムの原型は、1980年代の後半に、米国陸軍と旧スタンフォード研究所において開発されました。当初は、戦場での手術を遠隔で行うシステムの開発を目的として資金提供を受けていましたが、民間での応用を目指したのです。技術開発によって、低侵襲手術の手法が加速度的により広範な手技へと応用されていきました。(インテュイティブサージカル社HPより引用)

 このように開発の歴史は古く、今では意外に思うほど導入が進んでいます。

f:id:gyutaro75:20171025200938p:plain

ダ・ヴィンチの導入状況。2017年6月30日時点ですでに4,149台が導入済み

f:id:gyutaro75:20171025201440p:plain

↑導入数はU.S.がメインだが、今後ヨーロッパやアジアでの拡大が期待できそう。

f:id:gyutaro75:20171025201621p:plain

↑患者数は右肩上がりで、この装置の信頼性を証明していると思います。もう一つの注目点は、現状の手術の適応部位は泌尿器(青色)と女性の生殖器(灰色)がメインとなっており、今後適用範囲が広がって一般的な手術(紺色)が伸びてくる可能性も期待できます。

f:id:gyutaro75:20171025202523p:plain

↑利益面から見たこの装置の大きな特徴は、本体の販売よりもアクセサリーの売上がずっと大きく、サービスの売上も本体販売に肉薄してきています。これはジレットと同じビジネスモデルで本体が売れるほど、売上の伸びがそれ以上に加速することを意味しています。2016年においては売上の71%が本体以外からの売上です。

https://www.intuitivesurgical.com/assets/docs/1021625-EUrA_Si_System_I&A_Catalog_no_pricing_EU_highres.pdf

↑アクセサリーのカタログです。沢山の種類の手先(?)があってこれを色々取り替えて手術を行うようです。

3.業績の推移

f:id:gyutaro75:20171025203217p:plain

↑売上ですが、アクセサリー(濃紺)の安定した伸びが特徴ですね。

f:id:gyutaro75:20171025203456p:plain

↑単位はmillionsです。売上、営業利益、純利益の推移です。利益面では2014年の落ち込みが気になりますが、それ以降はこの2年間順調に伸びています。ちなみに2014年は前年のアクセサリーのリコールに伴う費用や当局からの罰金、日本に拠点を設けたことや第4世代のダ・ヴィンチXiを発売したことが関連していたようです。

f:id:gyutaro75:20171025203658p:plain

売上高営業利益率(青線)と売上高純利益率(緑線)の推移です。2014年以降は利益率も順調に伸びています。

f:id:gyutaro75:20171025205926p:plain

↑希薄後EPSの推移です。2014年以降は年率19%のペースで伸びてます。

f:id:gyutaro75:20171025210141p:plain

↑今のPERは50倍近くあります。今後もEPSが年率19%のペースで伸びた場合の、PERが30倍、40倍、50倍の時の予想株価。

 

下は2017年通年のEPSを、この前発表された3Qの決算発表時のガイダンスから私が予想した数字($8.3)をもとに計算したものです。

一番右端の株価成長率は一昨日の株価$369.58をもとに計算した数字です。

4.まとめ

手術ロボットも技術革新が進み信頼できる製品が生まれてきて、昨年からこの分野も注目されて来ました。そしてロボットを販売して稼ぐという我々のイメージとは裏腹に、実際のビジネスモデルがRecurring Revenue Modelですので、安定的な成長が期待できます。PERが約50倍と高いのが難点ですが、これからもどんどん伸びていく分野ですし、安定感のあるビジネスモデルである点も考慮すると買ってもいいかなと思いました。

経常収益(Recurring Revenue)とは、企業の営業活動によって毎期に経常的・反復的に生じる収益のことです。特に経常収益はSaaSの会社によく見られることです。予測がつきやすく、一定の積み重ねが期待できることから、金融市場で評価されやすい指標です。

VCが重視する、スタートアップの売上の見せ方 | 500 Startups Japanより引用

 

f:id:gyutaro75:20171025214643p:plain

↑週足チャート

インテュイティブサージカル合同会社 - ダヴィンチ サージカル システム

↑会社のHP

Intuitive Surgical - Investors - Investor Relations Home

↑IRのページ

http://phx.corporate-ir.net/External.File?item=UGFyZW50SUQ9Mzc5MTQzfENoaWxkSUQ9LTF8VHlwZT0z&t=1&cb=636307193992117528

↑参考にした2017年のinvester dayのプレゼン資料

https://seekingalpha.com/news/3302357-intuitive-surgical-beats-0_78-beats-revenue

↑この前発表した3Q2017の決算(予想以上の結果であった)