Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

中国リスクを正しく押さえられる良書 津上俊哉氏の「「米中経済戦争」の内実を読み解く」

住宅バブル崩壊や過剰債務問題など、何かと中国経済に対するリクスが言われています。世界第2位の経済大国がコケたら世界経済に大きな影響がでます。

リーマンショック以降株価は順調に上げてきましたが、次に来る大きな調整は中国が原因になるのでは?と思っている方も多いのではないでしょうか?

 

 

新聞で「IMFが中国の過剰債務問題について警告を発した」などの記事を読むことがあり、そのリクスがとても大きいことは理解できますが、その問題がいつ顕著化するのか?その問題を中国政府は抑えることはできるのか?などいろいろ疑問が生じると思います。

 

その疑問に対して最新の情報をもとに答えてくれたのが津上俊哉氏の最新刊「「米中経済戦争」の内実を読み解く」でした。中国経済について不安を煽る本は書店に多く並んでいますが、客観的に考察している書籍は少ないと思います。津上さんの本を読むのは3冊目ですが、どの本も中国経済を正しく理解する上でとても参考になりました。

 

今回の新刊は、保護貿易主義者のトランプ氏が大統領に就任して米中関係はどうなるのか、津上さんがトランプ政権誕生後アメリカに長期滞在して取材した内容も盛り込まれていますので、本のタイトルが「米中経済戦争」の・・・となってますが、内容のメインは中国の政治と経済に関することです。特に共産党一党独裁政権である中国では、政治と経済には密接な関係がありますので、政治についても押さえておく必要があります。

 

中国はリーマンショック後の莫大な財政支出と超緩和政策で国営企業等における過剰な設備投資や不動産投資が進みました。今これらの事業に大きな含み損が含まれ、融資した金融機関に隠れた不良債権が沢山あるのでは?と言われています。この後始末をいかに上手にできるかが今後のポイントになります。

 

しかし、国営企業中国共産党の屋台骨で既得権益の塊です。1期目で腐敗一掃で権力を固めた習近平氏でも国営企業はなかなか切り崩せませんでした。この秋に開催される第19回中国共産党大会が終われば習近平氏の二期目に入りますが、その後の経済運営はどうなるのでしょうか?

 

今後も中国に関するニュースから目を離せませんが、正しい大枠が頭の中にできていないと、ニュースの内容や背景を正しく理解できません。本書は大枠を理解するのにもってこいの本だと思います。

 

ちなみに、私はリーマンショックの時にどん底で持ち株(東レ)をすべて売ってしまい、100万円近く損しました。今では東レの株価は当時の倍です。持ち続けていればと、今でも後悔しています。中途半端にニュースやネットの記事だけで情報を集めて、100年に一度の経済危機という言葉に恐れて売ってしまいました。その時の教訓をもとに投資をする以上、いざという時に売るか売らないか、できるだけ正しい判断ができるよう、投資本だけではなくこのような本も読むようになりました。