バークシャーも少し株を所有している損保向けデータサービス会社べリスク・アナリティックス(VRSK)
(1)Verisk Analytics(VRSK)はどんな企業
データ分析によるリスク管理の分野で最先端を行く企業で、米国の損害保険会社を主な顧客としています。アクチュアリー(保険数理)分析に利用できる様々なデータを多数保有し、全米TOP100に入るすべての損害保険会社と取引関係があると言われています。
損害保険会社が必要なデータは多岐に渡ります。ハリケーンで住宅が多数損害受けた場合、保険金額を算出するにあたって、これくらいの修理だといくらかかるのか知っている必要がありますし、また自然災害の発生動向から将来必要な保険金額を算出して保険料を決めたり、保険会社は多くのデータやリスク予測などの情報が必要で、べリスク社はこれら必要な情報を提供しています。
15年にエネルギー資源開発会社に様々なデータを提供している英ウッドマッケンジー社を買収しています。そして、5年前にArgus社を買収して最近は金融分野のデータサービスに力を入れています。
↑この会社の特徴は様々な会社を買収して、自社の提供できるデーターを増やしています。最近では航空機で地形のデータを採取して3D化する技術をもった会社を買収していました。この円グラフから、最近は金融分野の買収に力を入れていることが伺えます。
↑左の円グラフは2Q2017の売上の内訳ですが、濃紺部分が損害保険向けサービスの売上で73%を占めています。エネルギー資源向けサービスが21%、金融向けサービスはまだ6%となっています。金融向けサービスの売上が今後どれだけ伸びてくるかがポイントになります。
右の円グラフによるとサブスクリプションが82%を占めていて、安定した売上が期待できます。
ちなみにこの会社はKBW Nasdaq Financial Technology Index(通称Fintech指数、テッカーシンボルKFTX)の49社の一つに、マスターカード、VISA、ペイパル、スクエア等と並んで選ばれています。
こちらのサイトによると2017年6月現在でバークシャーが保有する株に占めるべリスク社株の割合は0.1%だそうです。
(2)過去5年間の業績の推移
単位はmillions(データはモーニングスターより取得)
↑2016年は売上が落ちましたが、純利益は順調に伸びています。
↑しかし、べリスク社のスライドだと売上右肩上がりです。どちらが正しいのでしょうか?また、この会社は企業買収を毎年多数してますので、借金もあります。2017年6月30日現在でトータルデットは2.4Bあります。格付けはムーディーズでBaa3、S&PでBBB-です。
↑2017年3月31日現在のトータルデットは2.3Bで、Debt/EBITDAは2.2倍でした。トータルデットは3ヶ月で100M増えてますね。
↑過去5年間のキャッシュ・フローの状況ですが、黄色のフリーキャッシュフローもプラスで、緑の投資キャッシュ・フローも節度ある問題ないレベルであり、Debtについては問題ないと思います(10月13日に追記)。
↑希薄後EPSは順調に右肩上がりで、年率12.44%のペースで増えてます。
↑情報サービス会社ですので、売上高EBITDA比率が約50%あります。
(3)株価の推移
↑週足チャートです。2016年5月ごろからボックス圏を形成しています。
↑利益率がいいので高いPERが続いています。
PERの高さを考慮すると、新たな材料がでないと、一つ上のレンジに上がれなさそうですね。
↑過去5年間のEPS成長率約12%をもとに、今後5年間も同様の成長率をキープした場合のEPSと各PER(20倍、25倍、30倍)の株価。一番右の5年間成長率は、10月11日の終値$83.36で計算した場合 の株価の成長率。PER25倍をキープしてくれたら、今からでも買う価値が十分ありそうです。でも個人的には、今回はチャート重視で行きたいと思いますので、もし買うならレンジを抜けて$86のラインがサポートラインになったのを確認してから買いたいと思います。
(4)まとめ
堅調な相場とは裏腹に、株価は長い間ボックス圏を形成しています。このボックス圏を抜けるためには、業績の伸びを加速させる必要があります。キーは金融サービス分野だと思います。2017年2Qのアーニングコールによると、5年前にArgus社を買収してから平均17%の割合でこの分野は成長してきましたが、今期は一部の企業との契約切れが生じたため昨年に比べて売上が9.3%下がったそうです。売上に比べて多額の買収をしてレベルアップを図っている金融サービス分野を今後どれだけ伸ばしてこれるか、注目していきたいと思います。べリスクサイドではFintellixとG2というサービスに期待しているそうです。
↑2017年9月14日のべリスク社によるプレゼン資料
Verisk Analytics | Better Decisions About Risk
↑べリスク社のサイト
Financial Services | Verisk Analytics
↑べリスク社の金融サービスのサイト
この銘柄は、ツイッターでブログに書くネタがないと嘆いたら、有名な個人投資家の方が、わざわざ参考資料まで添付してこの銘柄ワイドモードがありそうだよと教えてくれました。ありがとうございました!