Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

ターンアラウンド中のBlackBerry Q2の決算前に注目しておくべきポイント

(1)はじめに

元祖スマホ製造会社から、得意のセキュリティ分野を活かしたソフトウェアに特化し、SaaS企業になりつつあるBlackBerry(以下BB)の業務転換が終盤を迎えつつあります。

 

そのQ2決算が9月28日寄付き前に発表されますので、決算前に注目すべきポイントをまとめておきます。

 

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↑月足チャート

6年に渡る長期低迷から株価は上昇トレンドになるのでしょうか?

 

(2)これまでの流れ

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↑このような感じでいままで順調に売上が下がってきていました。それはレガシービジネスのスマホ関連(緑の部分)の売上を減らしてきたからです。そしてSoftware and Services(青の部分)に特化して、順調に売上を伸ばしていました。(ちなみに、BBのSoftware and Servicesの技術力は評価が高いです)

 

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↑Softwareの販売比率が高まるのに伴い、粗利益率が凄く上昇しています。

 

 

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↑しかし前回のQ1FY19決算で、その期待されていたSoftware and Servicesの中で主力のEnterprise software の売上(青の棒グラフ)が激減しました。これはFY19年になってから会計方法をASC605から606に変更した関係で、Softwareの永久ライセンス契約に関する売上の計上方法が変わったためとの説明でした。

 

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↑週足チャートです。BBの復活の兆しを受けて株価が上がってきた矢先に、Q1決算で冷水を浴びせられ(青の矢印部分)、再び株価は$10前後で低迷しています。

 

(3)Q2決算での注目点

①コンセンサス予想

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https://seekingalpha.com/article/4206672-blackberry-now-never より引用

アナリスト予想(黄色部分)ではQ2が売上のボトムとなっています。

 

ちなみにyahoo financeのアナリスト予想は以下のとおりです。

売上予想の平均 $209.38M($178.7M〜$219M) 

EPS予想の平均 $0.01($-0.02〜$0.03)

 

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↑yahoo financeより引用

4連続で予想を上回るEPSを出してきているので、今回の決算も期待したいところです。

 

②Software の売上

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↑ソフトウェアのセグメントごとの売上の推移(再掲)

まず、前回の決算発表で株価下落の原因となったEnterprise softwareはQ1に比べてどれだけ伸びているか注目です。

 

またその他のセグメントがきちんと伸びてきていることが重要になってきます。特に黒のセグメントは話題のコネクテッドカーのセキュリティ分野が含まれていますので、ここにも注目です。

 

③新製品の評判

9月12日にIoTデバイス向けセキュリティプラットフォーム「Spark」をリリースしました。

ブラックベリー、IoTデバイス向けセキュリティプラットフォーム「Spark」をリリース【mobilesyrup】


ブラックベリーはあらゆるものがネット接続された仕事場の管理やIoTデバイスの安全性確保のための法人向け製品「Spark」をリリース。同社が「EoT(Enterprise of things)プラットフォーム」と呼ぶSparkは、自動運転車から産業機器、スマートスピーカーまで様々なIoT製品向けにミリタリーグレードのセキュリティを提供するという。

 ブラックベリーCEO「自動運転車はハッキングされれば最悪の武器になり得る」 ほか(WirelessWire News) - goo ニュースより引用

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↑それを先取りする形で前日に株価が大きく伸びていました(矢印部分)

 

かなり期待できそうな新製品ですね。その引き合い状況についてカンファレンスコールで質問が出ると思われますので、その回答内容に注目です。

 

④FBとの訴訟争いについて

今年3月にBBはFBを特許侵害で訴えました。そしてその3ヶ月後にFBから逆に特許侵害で訴えられて、訴訟合戦になっています。

gigazine.net

jp.techcrunch.com

BBは今までクアルコムノキアを訴えて来ています。セキュリティが評判のスマホを、iPhoneが出る前から作っていた企業だけあって、知財はいろいろ持っており、何かと特許侵害で訴えを起こしている企業のようです。

クアルコム、BlackBerryに8億ドルのロイヤリティ返金へ - CNET Japan

BlackBerryがノキアを提訴--11件の特許侵害を主張 - CNET Japan

 

FBに負けることはないと思いますが、万が一負けるとなると株価が大きく下がることは避けられないと思います。ただ、キャッシュリッチな会社なので倒産することはないでしょう。カンファレンスコールで質問が出ると思いますので、その回答に注目したいと思います。

 

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↑BB社の現金及び現金同等物(棒グラフ)の推移。$2.25Bほど持っています。

 

(4)まとめ

BBはGartnerでもセキュリティ分野で4つの部門で高く評価されており、技術力は問題ありません。ライバルが多いですが、BBの売上の準主力であるIoTやコネクテッドカー分野はこれから伸びる分野ですので、この先の売上成長率に期待が持てます。

 

SaaS企業として見た場合、PSRが6.6倍(2018年9月24日時点)で10倍以上が当たり前(私がウォッチしているSaaS企業だと中央値は14倍位)のSaaS企業にしては、かなり割安ですので、株価の上振れ余力は十分あります。

 

9月28日のQ2決算発表でターンアラウンドが確認できれば、株価的には非常に面白い注目すべき銘柄だと思います。

 

今回も素人である私個人が調べた内容になりますので、間違いがないように気をつけてはいますが、内容は絶対ではありません。投資は自己責任でお願いします。

※BB社はカナダ企業ですが、業績の数字はすべて米ドルで表記しています。

 

www.americabu.com

アメリカ部さんのBBに関するHPです。

 

 

usmarket.hatenablog.com

↑私はQ1決算後に書いたブログになります。

 

↑私はこの本で英語の決算書を読むスキルを勉強しました。オススメです。