ニッチな分野に集中戦略を取る医療器具メーカーLeMaitre VASCULAR社(LMAT) (その2)
その1からの続きになります。
(3)業績の推移
↑2013年より右肩上がりの成長が続いています。
↑2013年から売上成長率(YoY)は二桁台をキープしていましたが、今年に入ってから急落しています(TTMの部分)。
↑四半期ごとの売上成長率(YoY)ですが、だんだん右肩下がりになっています。
↑売上成長率が下がるに連れて、営業利益成長率(YoY)も下がってきています。
↑営業利益成長率とは逆にEPS成長率はJun2018で凄く上がっていました。アメリカで血管外科とは関係ないプロダクトラインの一部を売却したことで純利益が嵩上げされたためです。
↑年ごとの希薄化後EPSの推移です。順調に伸びてますが、最近の伸びは減税と売却の影響によるところが大きいと思います。
↑年ごとのグロスマージンの推移です。2016年から70%台をキープしています。
↑年ごとの営業キャッシュフロー(青)とフリーキャッシュフロー(緑)の推移です。営業キャッシュフローは売上成長率低下に伴い、TTMでは伸び悩みが見られますが、フリーキャッシュフローは順調に伸びてます。
最近伸び悩みをみせているLMAT社ですが、今何が起きているのでしょうか?
(4)2期連続で失望決算をマーク中
2018年4月26日に発表された1Qでは売上☓、EPS☓、ガイダンス☓の3調子揃った決算(?)を出して株価が20%下がりました。
↑日足チャート
血管外科とは関係ない2〜3の手術用プロダクトラインの売却中で、それに関連するコストが発生したり売上が減ったりしたため、業績を予想するのが難しく、かつガイダンスが引き下げられたりする不安定な時期にいるためです。
また、2Qではドル高を理由に2018通年のガイダンスを1Qよりも、若干ながら更に引き下げたため失望を買ってました。
それでもチャートを見ると株価の下値が徐々に切り上がってきてますので、この銘柄の期待の大きさが伺えますね。
(5)まとめ
Johnson&JohnsonやMedtronicなどの大手との競合を避けて、血管外科におけるニッチな分野(主に年間売上$150M以下)の製品に絞る成長戦略を描くLMAT社。
そのニッチな分野でのドミナント戦略は販売単価の上昇というメリットを生んでいます。
そしてこの会社はキャッシュを順調に伸ばしており、チャンスが有ればいつでも他社を買収する用意があります。
LMAT社が狙う市場規模は$1Bと言われる中で、年間売上はまだ$100M程度。値上げと買収余力、セールスの増員、各国での承認取得状況を考えると、まだまだ十分な成長が期待できます。
気になるのは売上成長率が1桁台なのにPERが35倍もあること。これが10倍台なら間違いなくバフェットが買う銘柄だと思うのですが、残念ながらそこまで下がらないでしょうね。この先、もし相場が大きく調整し始めたら、タイミングを見計らって買いたい長期保有銘柄候補です。
↓今回用いたLMAT社のプレゼン資料です
http://lemaitre.gcs-web.com/static-files/b1465d56-42a2-4f04-b796-5abfdfe9de16
数字は間違いがないように気をつけてはいますが、絶対ではありません。本ブログは投資を単なる趣味とする素人が書いたもので、内容は保証できません。投資は自己責任でお願いします。
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