今度の決算は大丈夫? なぜ多くの人がAmazonに期待するのか!
1.はじめに
Amazonの人気が凄いですね。私のブログ(PVが少ない弱小ブログですが...)でも断トツでこちらのページが読まれています。
7月26日引け後がAmazonの2Qの決算発表になります。ここで一度立ち止まって、なぜAmazonの期待が高いのか?今度の決算発表ではどこに注目したら良いのかを自分なりに考えてみましたので、ブログにまとめておきたいと思います。
以下はアナリストでもなんでもない一個人投資家の主観的な考えになりますので、その旨ご了承下さい。
2.株価がブレイクし始めたきっかけは?
↑週足チャート
2017年10月26日に2017年3Qの決算発表がありました(赤矢印の部分)。そこから株価のブレイクが始まっています。
↑3Qでは売上成長率が今まで20%台だったのが、9ポイントも上昇して34%に跳ね上がっており、その後も売上成長率が上昇を続けています。ホールフーズを買収した効果が効いているのだと思いますが、それだけではないと思います。
↑Yahoo financeより
2017年3QよりEPSも予想を大きく上回って来るようになりました。
↑希薄化後EPSの推移
この日(Sep17=3Q)は売上は大きく伸びてましたが、EPSは前年同期比で成長はなかったです。しかし、次の四半期からEPSが大きく伸び始めまていました。
↑各利益の前年同期比の成長率ですが、直近2四半期の各利益の成長率(黄色部分)が前年(水色部分)と比較してぜんぜん違うのが分かると思います。
こんな訳で、投資家の期待が大きく膨らみ、株価が1.7倍まで上昇しているのだと思います。
3.Amazonで何が起きているのか?
↑年次ごとの売上高と売上高営業利益率と売上高純利益率の推移
Amazonの特徴はFAANGの中で利益率がダントツに低いことです。
17年は売上高$178Bに対して営業利益はたったの$4.1B、純利益は$3Bでした。
AmazonのECは価格も安いし、プライム会費をとっても沢山のビデオが見れたりして、サービスが良すぎるのでなかなか儲からないですよね。
また、同じプラットフォームで中古まで販売しており、私も高い投資本は必ず中古価格をチェックしてから買ってます。よって、Amazonは直販ECで利益を出すつもりはないと思いますね。
↑セグメントごとの売上高
直販EC=青色、マーケットプレイスの手数料収入=薄茶色、プライム会費や読み放題などの課金サービス=赤色、AWS=紫色、ホールフーズなどの実店舗=緑色、広告収入など=黒色、
Amazonの直販ECは儲かりませんので、利益の源泉は直販EC(青色)以外にあります。よく知られているのがAWSと呼ばれるクラウドサービス(紫色)です。決算資料によると営業利益率は24%(2018年1Q時点)です。それ以外のセグメントの利益率は公表されていませんが、直販ECよりも利益率は高いと思います。
↑各セグメントの売上成長率(前年同期比)
売上のメインである直販EC(青)の成長率がだんだん下がってきているのが驚きですね(笑)。
成長率が下がり続けていたAWS(紫)がまた盛り返してきているのと、広告収入がメインのOther(黒)が前回の決算で大きく伸びていたのが目を引きます。
総じて、直販EC以外は35%以上の高成長を続けています。
最近、Amazonで商品検索するとスポンサープロダクトと小さくかかれた商品がちょくちょく紛れ込んできます。これがAmazonのターゲティング広告です。写真はスノーピークという高級アウトドア用品メーカーの商品を検索したら、岩谷産業のガスバーナーが紛れ込んでました。
でも、口コミ数が396もあって評価が高い商品だと、目的外のものでもアウトドア好きならついついクリックして開いてしまうと思います。Amazonのターゲティング広告は効果が高いとの評判ですが、納得ですね。
Amazonの場合、自社のサイトでの広告表示ですので、Googleと違って場所代を払う必要がありません。よって、利益率はかなり高いはずですので、売上高に占める割合が低くても、薄利のAmazonの利益にはかなり貢献していると思います。
(ちなみに2018年1Qでは、全体の営業利益は$1.9B、広告収入が含まれるOtherの売上高は$2Bでした)
↑直販EC以外のセグメントの四半期ごとの売上高の推移(7月16日追記)
広告収入が含まれる黒のOtherの数字に今後も要注目です!
↑直販EC以外のセグメメントを合計した売上割合の推移
利益率が直販ECよりも高いその他のセグメントがしっかり伸びてきており、そのためにAmazonの利益もどんどん伸びているのだと思います。
4.まとめ
2018年2Q決算のアナリスト予想は、Yahoo financeのものだと以下のとおりです。
EPS $2.5(1.53〜3.09)
売上高 $53.42B(52.52B〜54.09B)
(前年同期比+40.7%)
(以下、2で掲載したものを再掲します)
まあ、直近の成長率を見る限り、妥当なコンセンサス予想だと思いますので、無事クリアしてくれるでしょうが、どうなるか今からドキドキしますね。
↑Amazonといえば、プレゼンテーション資料の最初に必ずこの文句が入っているのが特徴です。意味は「長期目標はフリーキャッシュフローを最大限利用する」。儲けはどんどん設備投資や研究開発費に投資するよということですので、裏を返せばEPSは気にしていないということです。
(ちなみにベゾスの夢は、将来地球が汚染されて住めなくなった時のために、宇宙コロニーを作ることです、笑。ベゾスが個人で所有している宇宙開発会社Blue Originは、来年一般人の宇宙旅行を実施するようですね)
たとえ、決算をしくじって株価が大きく下げたとしても、利益の源泉である直販EC以外のセグメントの成長に大きな変化がなければ問題ないと思います。
私はEBITDAの成長率に注目しています。
悪くても前年同期比+30%以上はキープしていてほしいですね。数字だと$4.47B以上。この意味がわからない人は、よろしければこのページの最初に紹介した私の過去のブログ記事を見て下さい。
Amazon - Investor Relations - Quarterly Results
こちらのサイトで四半期の決算資料が手に入ります。セグメントごとの数字は10QではないFinancial Resultという資料の最後の方に出てきます。
用いた数字について、セグメントごとの売上はAmazonの資料より、その他の数字はGurufocusのものを用いてます。数字に間違いがないように気をつけていますが、絶対ではありません。素人の一個人が書いたものですので、内容に保証はできません。投資は自己責任 でお願いします。