SaaS企業でまだ割安感があるNutanixの決算(Q3 2018)内容と今後の見通し
1.なぜNutanixに注目しているのか?
ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャー(HCI)技術の世界的リーディングカンパニーだったNutanixは、この分野の競争激化と利幅の減少を嫌って、オンプレミスやパブリッククラウドとプライベートクラウドの境界線をぶち壊し、ITタスクにおける複雑さを排除しシンプルな操作性を提供しコスト削減するサブスクリプション型のソフトウェア企業へ移行しつつあります。
(アメリカ部さんより引用)
ニュータニックス【NTNX】ハイパーコンバージドインフラストラクチャーからエンタープライズクラウド企業へ成長
↑2018年5月27日、Gurufocusにて作成。今回のNutanixの決算内容はまだ反映されていません。
まだ赤字企業が大半を占めるSaaS企業のバリエーション比較に私はPSR(株価/一株当たりの売上高)を用いていますが、Nutanixは売上成長率が高い割にはPSRが一番低く、全体的に割高感があるSaaS企業の中で一番割安感があるため、私は注目しています。(ちなみにYahoo financeでは9.16倍となっていました)
2.Q3 2018の決算内容
↑SeekingALPHAより引用
売上はコンセンサスをクリアしましたが、EPSが0.02ほど下回りました。またQ4のガイダンスも売上はコンセンサス以上ですが、EPSが下回ってました。
↑決算発表後の株価の反応は、5月24日の引け後に発表された後は−5%ほど下げましたが、翌日の寄り付きではもとに戻して一旦は買われましたが、結局−5%で終わりました。
決算の詳細は以下のプレゼンテーションを見ていただくとして、気になった部分を載せていきます。
http://s21.q4cdn.com/380967694/files/doc_financials/2018/Q3-FY2018-Investor-Presentation_FINAL.pdf
↑売上成長率が落ちてきていました。しかし、Earning Callで季節的にQ1とQ3は芳しくないと発言していましたので、Q4がどうなるか注目ですね。
↑最大のコストであるSales Marketing費用ですが、売上に占める割合が今回は伸びてました。これがEPSがコンセンサスを下回った要因だと思いますが、企業向けのソフトウェアの場合、競争が激しいのでSales費用が増えてしまうのは、仕方がないかなと思います。
↑顧客数の成長率です。SaaS企業の場合、顧客の増加がそのまま売上成長率につながるので注目していますが、だんだん落ちてきています。
ただ、Nutanixの場合、グローバル2000と呼んでいる世界的な大企業を顧客にすることに力を入れているので、それほど心配ないかなと思います。
↑グローバル2000企業のうち、すでに670社を顧客にしたようですね。
日本だと東証もNutanixのシステムを採用しています。
Tokyo Stock Exchange | Nutanix
↑SaaS企業でよく出てくるコホートですが、FY12年に顧客となった層からの再契約数(多分金額ベースだと思われます)はちょっとずつ上がってます。ソフトウェアはスイッチングコストも高いので、年々このように売上が積み上がっていくのがSaaS企業の魅力ですね。
↑Non-GAAPでの数字ですが、今回グロスマージンが68%まで上がってましたが、営業利益率は-12%までダウンしてました。
3.今後の見通し
来週以降どのような株価の動きになるか分かりませんが、6ヶ月ごとのミッションを組んでいるため、Q1とQ3は減速した数字になるとの会社側の説明でした。よって、このままホールドして来期の数字に注目したいと思います。
SaaS企業の場合、ソフトウェアの評判が良ければ、スイッチングコストが高いためリテンション率が高く、そう簡単に売上は落ちなさそうです。問題は競争が激しい分野だとSales費用が嵩んで利益が伸びないことでしょうか。長期的な視点を持った株主が多ければいいのですが、SaaS企業は全般的にバリエーションも高いため、短期的に売られる展開になりやすそうです。
前回このブログで取り上げたAppFolioやこちらのニューレリック社なんかは売上に占めるSales費用の割合が下がってきています。その分野での優位的な地位を築いていることが伺え、安定的な利益成長が確実視できそうですが、バリエーションが高いので(PSRが約13倍と15倍)、株価的にはそれはそれでリスクがありそうです。
私はバリエーションでNutanix社の株に期待していますが、どちらの企業の方がよいのか、正直迷っているところです。