Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

Amazonを今買った場合の5年後のリターンは?

 1.はじめに

AmazonのPERは現在、約200倍です。yahoo financeのForward PERでも約100倍です。ここから買いに入るかどうかすごく迷うところです。

 

Amazonの評価が難しいのは、Amazonは成長するために設備投資や研究開発に多額の費用をかけているので、EPSが実際の成長を表していないからです。

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↑1996年の上場1年前(1997年に上場)から2017年までとTTM(直近12ヶ月連続の合計数)を加えた希薄化後EPSの推移ですが、2016年からようやく安定したEPS成長が認められるようになってきたという感じですね。

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(単位$million)

↑こちらは1996年からのEBITDA(営業利益に減価償却費を足し戻したもの)の推移です。Amazonは配送センター等へ多額の設備投資をしてます。それがAmazonという企業のパワーの源なので、その減価償却費を営業利益に足し戻したEBITDAの方が本当のAmazonの成長を表していると思います。

 

2.過去のEBITDA成長率から5年後のEBITDAを計算する

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↑EBITDAの成長率です。Amazonが黒字化した2002年から2017年までの15年間で年率+36.8%の成長を続けています。過去5年間で年率+55%、過去3年で年率+82.5%と成長が加速してますが、2016年から2017年にかけての1年間では29%の成長率でした。

 

この過去の成長率から5年後のEBITDAを計算するわけですが、成長率をどう取るか悩むところです。前回のブログで書いたとおり、広告が利益を押し上げてきてますので、少なく見積もっても35%の成長は固いのではないでしょうか。

usmarket.hatenablog.com

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↑2017年のEBITDAに1.35をかけて計算していくと2022年には$72,336Mとなり、2017年の4.5倍になります。

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↑こちらは成長率を30%で上と同様に計算したものです。2022年には$59,897Mとなり、2017年の3.7倍になります。

 

3.気になる5年後の株価は?

過去のEPS成長率から、今後の5年間も同じペースで成長するとして5年後のEPSを計算し、そこに過去10年間の平均PERを掛け合わせて5年後の株価を予想する方法がこの本の17章に紹介されています。

この方法をアレンジしてEBITDAをEPSとみなして、計算してみました。

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↑PERの代わりに時価総額をEBITDAで割った倍率を用います。Amazonが黒字化した2002年からの推移で、2008年のリーマンショックの年が一番低くて17.5倍、そして今は41.2倍です。

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(単位$million)

時価総額/EBITDA倍率(以下、倍率とします)を20倍、30倍、40倍の時の時価総額を計算してみました。4月28日終値時価総額は$762,673Mで、倍率が41.2倍です。今後5年間、EBITDAが年率35%で成長して、倍率が40倍をキープすれば、時価総額は3.8倍の$2,893Bまで行きます(つまり今の株価が3.8倍になるということ)。

 

今後更なる金利上昇が見込まれるため、倍率が低下して30倍前後で推移したとすると、5年後の時価総額は今の2.8倍、倍率が20倍まで下がったとしても5年後には2.2倍まで時価総額は上がります。成長力の威力は大きいですね。

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(単位$millions)

↑こちらはEBITDA成長率を30%で計算したものです。オレンジ部分は今買った場合、利益が乗って来るところです。景気後退で相場の地合いが悪くなり、成長率が30%まで落ちて、倍率が20倍まで下がっても4年後には儲けが生まれてきます。5年間保有すれば時価総額は1.5倍になり、年率換算で+9.5%のリターンが得られます。ここが最低ラインでこの想定条件より悪くなったら即座に売りですね。最悪なケースとしては、もし1年目に相場が突如暴落して倍率が20倍まで下がったら、株価は今の54%まで下がってしまいます。

 

4.まとめ

Amazonのように長期的に見て着実に成長している企業は、この先の成長も予測しやすいと思います。普通はEPS成長率を用いますが、Amazonの場合は、利益は極力、設備投資や研究開発費へ回してひたすら成長することを目指してましたので、EPSが当てになりません。そこで今回EBITDAを用いて計算してみました。

 

しかし、EPSの推移を見ても2016年よりAmazonもしっかり利益が伸びてきており、それに合わせて株価がブレイクし始めています。

 

前回のブログで書きましたが、今までAmazonクラウドサービス(AWS)の利益が支えでしたが、そこに広告の利益収入が加わったため利益が安定して伸びてきているのだと思います。

 

EC部門は海外の設備投資が嵩んで、まだまだ赤字が続く可能性があります。サブスクリプション部門にAmazonプライム会費は計上されていますが、配送費やプライムビデオ、そしてオリジナルドラマの制作などで、会費を値上げをしても利益はあまり期待出来ないと私は思います。買収したホールフーズもそれなりに利益をあげていそうですが、実際にどれだけ営業利益が出ているのか分かりません。よって、控えめに考えると、今後のAmazonの利益成長を支えるのはAWSとOther(ここに広告の利益が含まれる)のこの2つのセグメントになると思います。

 

クラウド事業は今まで安定した高成長を続けてきたましたが、マイクロソフトが猛烈に追い上げてきています。Googleも頑張ってますし、両社もAIを使ったサービスも始めていて、AWSも今の成長率をキープできるか心配な面もあります。

 

広告事業は最近売上が急速に伸びています。

ネットで評判を調べてみると、最初は安かったのに最近は出稿料を値上して出稿者の評判が落ちてきてますが、どちらがAmazonの利益増加にメリットがあるか分かりません。広告事業の今後の行方はとても大事だと思います。

Amazon スポンサープロダクト広告を半年間継続利用した結果 | 売れる!ネットショップの教科書

Amazonが広告を始めた当初は、出稿者の評判がとても良かったようです。

アマゾン広告の運用と費用対効果について | 定期購入EC通信

↑しかし、最近は出稿料が高くなって費用対効果が良くないという記事が増えてきています。

 

今後、EBITDA成長率が30%をキープして、投資家の期待が剥がれ落ちず倍率が30倍をキープできれば、5年間保有したリターンは今の株価の2.4倍になります。

 

Guru focusに出ている2020年の予想EBITDAは私の予想よりも高くて$42,202Mありましたので、成長率は35%以上で計算されています。よって、私の予想よりも上振れする可能性も十分あります。

Amazon.com Inc (AMZN) Stock Analysis - GuruFocus.com

お願いですから、あまり高い期待感を持たせないで頂きたいと思います。事前予想が高くなりすぎると、それを下回った場合の株価下落が激しくなりますので、長期投資家には迷惑です(笑)

 

さてさて、5年後の結果はどうなっているでしょうか?

 

間違いが無いように気をつけて計算してますが、正確性は補償できませんので、今回のブログは単なる私の戯言だと思って、投資は自己責任でお願いします。なお、今回用いた業績の数字はAmazonが発表する決算資料からではなく、Guru Focusから引用しています。