Hang in the US MARKET

日本の将来を悲観して、あえて米国市場で頑張っています

空売りファンドに狙われ株価下落中のShopify株の行方は?

1.はじめに

私は決算が読めるようになるマガジンを購読しているのですが、先日Shopify(SHOP)が取り上げられており、収益モデルが素晴らしいと絶賛されていました。

irnote.com

そのShopifyの株価が、Citron Researchという空売りファンドに狙われ、10月に入った直後に株価が下落しています。これは絶好の買い場を迎えるかもしれないと思い、急遽ブログにまとめてみました。

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↑Shopifyの日足チャート。50日移動平均線を割り込んでいますが、チャート的にはまだ本格的に空売りするタイミングではないと思います。

2.Shopify(SHOP)とは

北米版の楽天市場「Shopify」から学ぶEC版の月額課金+手数料モデル|決算が読めるようになるノート

↑こちらを読んで頂ければ、どういう会社でどういうビジネスモデルかよく分かります。無料で読める部分だけで、この会社の魅力を理解することができます。

  

3.Citron Researchが空売りした理由

以下のサイトによると、Citron Researchは10月4日にビデオメッセージでShopifyのビジネスを「Get Rich Quick Scheme(一攫千金を狙ったスキーム)」だと述べた上で、営業レバレッジが急速な売上成長のために小さく見えているので、株価のプライスターゲットが$60でも不思議ではないと指摘しました。

 

$60という数字は、Workday、セールスフォースドットコムなどのSaas企業と同じsale multiple(8.5倍)から導いたようです。それによって、株価は1日で$116から$104まで下落しました。

seekingalpha.com

 

4.Shopifyの業績

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↑単位はmillionsです。過去5年間の売上(青)、営業利益(緑)、純利益(黄)と粗利益率の推移です。売上は凄い勢いで伸びてますが、赤字幅は減っていません。TTMとはTrailing Twelve Monthsのことで連続した12ヶ月間の値です。この数字は本日、モーニングスターのHPから取り出したものですが、一昨日にQ3の決算発表の内容が含まれているかどうかは不明です。

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↑希薄化後EPSの推移です。赤字幅が逆に増えてますね。

 

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↑単位はmillionsです。営業キャッシュ・フローもまた赤字に転落してますね。

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2017年9月30日時点でのバランスシート(単位は$1,000)ですが、上の赤マークが流動資産、下の赤マークが流動負債で、2ケタ違いますので、流動比率は問題ないです。今年は新株発行を行って株主資本も大きく増えています(緑の矢印)。バランスシートは強固ですので、赤字が続いていても問題なさそうです。

 

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問題の営業レバレッジですが、手書きの数字は年初から9月30日時点での一般管理費(ピンク)、研究開発費(緑)、販売促進費(紺)の売上高に占める割合の推移ですが(Q2の数字を拡大したわけではありません)、合計で67%となり2016年の57%より上がってきています。売上の伸びは同じ9ヶ月間で+74%のペースで伸びており、過去5年間と同じペースで伸びていますが、2015年から2016年にかけての伸び率(+90%)は下回っています。Q3の決算発表後、株価は11%下落しました。

こうやって業績を見ていくと空売りしたくなる理由も分かります。

 

5.まとめ

営業利益の変化は以下の数式で表現できるようです。

営業利益の変化 = 売上の変化 × 営業レバレッジ

営業レバレッジが大きくなると営業利益の変化も大きくなりますので、まだ赤字企業である同社場合は特に気になるところです。

 

決算が読めるようになるマガジンでは、(有料会員しか読めない所で)営業レバレッジが下がってきているのも褒めていたのですが、今年は上昇傾向のようです。

 

スイッチングコストが高いので一度顧客を掴んだら、一定の売上+成功報酬(その顧客の売上が伸びたら取扱手数料も増える)でビジネスモデルとしては優秀だと思います。また売上の成長率は昨年よりも下がったとはいえ+70%台をキープしています。取扱高もQ3では前年同期比+69%でした。よって、SeekingALPHAのサイトに載っているレポートやそのコメントを見るとこの空売りは間違いだという意見が多いです。

seekingalpha.com

 

成長株をトレードすると、このようなトラブルに見舞われることがあります。ここで売るか、所持したままにするか、判断に悩むところです。株価が何倍にもなる可能性も秘めてますので、そう簡単に売れません。今回のケースは経験値を高めるいい勉強になると思いますので、この株価の行方に注目したいと思います。ちなみに私は同社の株は持ってません。

 

Shopifyでネットショップを作ろう ー 世界シェアNo.1を無料トライアル

↑ShopifyのHP

https://investors.shopify.com/Home/default.aspx

↑ShopifyのIR

https://s2.q4cdn.com/024715446/files/doc_presentations/2017/09/Investor-Deck-Q2-2017-(1).pdf

↑Q2'2017の時のプレゼン資料

https://s2.q4cdn.com/024715446/files/doc_financials/2017/form-6k-Q3-2017.pdf

↑Q3’2017の決算