石油メジャーを斬る!石油メジャーの特徴を比較(その1)
このところ石油メジャー絡みのブログを書いていますが、石油メジャー企業をいろいろ調べていたら、参考になるグラフ等を各社のHPで見つけましたので、ここで紹介させて頂きたいと思います。
(1)エクソンモービルのHPより抜粋
格付けはMoody’sとStandard & Poor’sの2017年1月31日時点のものです。TotalCapitalizationとLeverage(Net Debt / (Net Debt + Market Capitalization))は2016年12月31日時点の数字よりで算出されたもので、これは企業の財務レバレッジ(借入比率)がどのくらいあるかを示した比率になります。
↑エクソンの財務状況がピカイチであることをアピールしてました。
↑昨年は2月に原油が$26まで下げて悪夢を見ましたが、そのような状況でも、エクソンのキャッシュフローが一番マシだったとアピールしてます。(左(青系)のグラフがインフローで右(赤系)がアウトフロー)
↑資本投下利益率はエクソンが一番いいとアピールしてます。
これらを見れば、エクソンモービルの優良さが一目瞭然ですね。
(以上の3枚のスライドは2017Analyst Meetingのスライドより抜粋しました)
(2)シェブロンのHPより抜粋
↑シェブロンの特徴は営業マージンの高さだと思います。今回の2Q決算でも15%くらいありました(エクソンは11%くらい)。それを裏付けるグラフで、左は上流部門の利益率(グレー部分は他4社の利益率のゾーン)、右は下流部門の利益率です。
↑投資家への還元率ですが、青のシェブロンが一番高いことをアピールしてます。昨年は従業員を7000人カットしてまで、配当を維持したのには驚きました(日本人の感覚からいうとそこまでしてまで配当を維持しなくてもいいよと思ってしまいましたが、甘いのでしょうか?)今回の2Q決算では配当性向が1.4と高かったのが気になりました。
投資家還元を最重視している意気込みが伺える資料です。
以上の2枚のスライドは今年3月に行われたChevron's 2017 Security Analyst Meetingより抜粋しました。
エクソンとシェブロンは問題ありませんので、何も考えずにホールドできると思います。次に紹介するBPとロイヤルダッチシェルは負債の大きさが懸念されてる石油メジャーです。株価が上記2社に比べて割安なので、配当利回りは6%くらいあります。
(3)BPのHPより抜粋
↑左下の14.7yeasに注目しました。これはReserve to production ratio(可採年数 = 可採埋蔵量 / 年間生産量)でBPの資料だけこの数字がアピールされていました。石油会社は石油を出荷するためには、新たに油田を掘らないといけませんが、借金が嵩むと採掘費用を借金の支払いに回しますので(石油株は配当が命なので、減配は最後の最後までしないようです)、可採埋蔵量が減ってきます。2010年のメキシコ湾原油流出事故で多額の補償金を毎年支払い続けているBPは、この数字が悪いかもしれないとの懸念がありましたが、一安心しました。岩瀬さんの2016年2月のブログ(下のリンク)によると、エクソンは16年だそうです。
http://ameblo.jp/nobbypapa/archive5-201602.html
↑左の棒グラフは各社の油田の保有割合です。緑(伝統的油田)、黄緑(深海油田)、黄色(天然ガス)、オレンジ(シェール)、赤(サンドオイル)を表しています。エクソンのシェールの割合が意外と高いなと思いました。BPはバランスが取れているとアピールしています。右は下流セクターの利益率の高さをアピールしています。グレーのゾーンが他社のレンジを表しています。
以上2枚のスライドは2017年2月に行われたBP Strategy updeteのスライドより抜粋しました。
(4)ロイヤルダッチシェル
すみません、ロイヤルダッチシェルのHPでいろいろ探してみましたが、特筆すべき他社と比較して優位にあるグラフ等は見つけられませんでしたので、なにもなしです。ロイヤルダッチシェルについては、後日まとめてみたいと思います。
面倒くさいので、今まではあまり決算資料とか読んできませんでしたが、この本をきっかけに色々調べて見ようと思い、ブログを再開しました。特に同業他社を比較すると気づきが多く、またブログネタも増えますので、一石二鳥です。
石油株は配当銘柄として人気があり、長期保有している人も多いと思いますが、自分の保有している企業の特徴や欠点を把握しておくことは重要だと思います。この本は決算資料を読む楽しさを教えてくれるとてもお勧めの本です。
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