NVIDIAを今からNISAで買うのはあり?
(1)はじめに
NVIDIA(以下NVDA)も決算しくじりました。最近、ハイテク銘柄の天井がささやかれるようになりましたが、個人的にはITの発達で世の中が変わりつつあると感じていますので、ハイテク銘柄が長期的に見ても魅力的であるという思いは変わりません。
皆さんもご存知の通りNVDAはビデオゲームをする際に重要なグラフィックボートで使われる半導体の分野で非常に競争力のある商品を作っており、また次世代の技術であるAIや自動運転の分野でもトップの位置を占めています。ビデオゲームの分野もEスポーツという言葉を聞くようになったように、現在非常に盛り上がりを見せている分野です。
今まで急成長をしてきたNVDAの成長率が、この度のガイダンスによると3Qで鈍化することになりました。原因は今まで盛り上がりを見せていた仮想通貨のマイニング分野での売上が急減したからです。
成長率が鈍化すると株価が大きく売られるのがグロース株の特徴ですが、将来の期待が高いNVDAの株価はどうなるのでしょうか?ここで大きく売られるなら買いのチャンスでもありますので、今更ながらNVDAについて調べてみました。
(2)2Q FY19の決算内容
8月16日引け後に発表されたNVIDIA(以下NVDA)の決算は、仮想通貨マイニング分野での販売が大幅に下落し、売上高と3Qのガイダンスが予想を下回る結果となりました。
エヌビディア 第2四半期決算 EPSはOK、売上高、ガイダンスは× - Market Hack
ガイダンスをグラフに落とし込むと以下のとおりになります。
↑売上高のガイダンスには仮想通貨マイニング分野の売上が入っていません。それでも売上成長率が+23%は寂しい感じがしますね。当然仮想通貨マイニング分野の売上がゼロになることはないと思うので、上振れする可能性は十分ありますが...
↑セグメントごとの売上ですが、一番上の紫の部分が仮想通貨マイニング分野の売上です。全体に占める割合は少しですが、Q1FY19ではそれなりの売上を上げているので、これが急激に下がるとインパクトはありますね。
↑nonGAAPのEPSの推移です。ちなみにNVDAは直接EPSに関するガイダンスは出してません。でもグロスマージンから営業支出、税率まで細かいガイダンスを出しますので、それらから推定された数字になります。
↑こちらはGAAPのEPSになります。次のQ3で前年同期比+30%は、ちょっと寂しいですよね。
↑PERの推移ですが、8月17日の終値で約35倍まで下げてきています。35倍が一つの節目ですが、まだ下がるのでしょうか?
(3)NVDAはAI分野へのアプローチの仕方が素晴らしい!
↑こちらの本の最後にNVDAを取り上げた記事が載っており、とても参考になりました。
現在、NVDAがAI分野でトップの座に位置していますが、もともとビデオグラフィックに強い半導体(GPU)を作っていたNVDAが、自社のGPUがAI、その中でもディープラーニング分野で凄い威力を発揮すると知ると戦略的にAI分野へアプローチしていきました。
まずディープラーニング向けのGPUを作ると同時に、自前でティープランニング用のソフトウェアを開発してGPUに組み込み、また価格を比較的安くして、広く使われる製品を販売しました。ディープラーニング用のソフトはオープンソースにしたために、Amazonやマイクロソフトなどが使いだしました。狙いはAIのプラットフォームを築くことです。
そして、世界中のAI研究者を支援するとともに、AI分野のベンチャー企業も積極的に支援しています。NVDAのテクノロジーを惜しみなく提供することでアイデアを共有することができ、WinWinの関係を築くことを心がけています。
そしてAIを活用する分野の開拓にも乗り出し、その一つが自動運転の分野とのことです。
↑真ん中の黄色の部分がAI関連で使われるデータセンターの売上です。
↑一番上の青線がデータセンター分野の成長率(YoY)です。急成長していますね。主力のゲーム分野(赤線)も前回同様、今回の2Q決算でも50%の成長率をマークしていました。ゲーム部門もまだまだ成長は続くと思います。ビデオゲームの世界はよく知りませんが、広瀬さんのレポートだとEスポーツが盛り上がるものこれからのようです。
テンセント・ショックで中国のネトゲ株が低調な今、ゲーム・ストリーミング関連株の「フヤ」に妙味が!世界的流行の兆しを見せる「eスポーツ観戦」とは!?|世界投資へのパスポート|ザイ・オンライン
↑NVDAのカンファレンスコールでも紹介されていた秋に発売される対戦型ゲーム。こんな立派なグラフィックを動かすのにNVDAの半導体が威力を発揮するようです。
↑この本読みましたが、AIを構築するために行う機械学習で用いるGPUは、スピードの面で現時点ではNVDA以外ありえないとのことでした。
(4)今から買う場合、いくらなら買ってもいいのか?
今年はまだNISA枠で何も買っておらず、何を買うか悩んでおりましたが、NVDAの株価が急落したことで買いを検討しております。
私のNISA枠に対する考え方は5年間引っ張ることを想定していつも買ってます。今後5年間のNVDAの成長率やPERを自分なりに想定して、どれだけのリターンが得られるのかシミュレーションしてみました。
↑EPSが今後、年率+20%で成長した場合と+30%で成長した場合を想定してみました。起点となるEPSは2Q FY19のTTMで計算した数字$6.84です。現時点の株価$240(2018年8月20日時点)で購入して5年間保有した場合のリターン(年率換算)は一番右のとおりになります。
インテルを始め他の半導体メーカーがNVDAの背中を一生懸命追いかけており、今後5年間で競争が相当激しくなっていると思いますので、20〜30%の成長率をキープできれば良しとしました。成長率が平均20%で推移した場合、投資家の期待を表すPERがどのレベルになるのか、25倍をキープしてくれたら年12%のリターンが得られます。最低これくらい欲しいところですね。
欲を言えば、もう少し安い買値でエントリーしたいところです。ちなみに、カンファレンスコールでは他の半導体メーカーの決算発表で出たデータセンターへの投資が減速している話について質問が出ていましたが、使われる目的が違う(Uberを始めとする交通系や医療系の分野でのAI活用での引き合いが多いようです)のでうちは関係ないとの回答でした。米中貿易戦争に関する質問は出てなかったですね。参考までにNVDAはファブレス企業で台湾と韓国のメーカーに製造委託しています。
(5)まとめ
長期保有を目的としてグロース株を買う場合、PERが高い時にエントリーすると、保有している間に成長率が鈍化した場合PERが下がるので、長期保有しても思ったようなリターンが得られないことがあります(大概どんなに優秀なグロース株もいずれ成長率が鈍化するものです)。そのことを考慮して、エントリーする際のバリエーションと今後の成長性をよく吟味する必要があると思います。
NVDAはビデオゲーム、AI、自動運転とこの先の成長が十分期待できる分野で競争力を持つ製品を持っています。また、Professional Visualization分野で画期的な新製品を出すようで、仮想通貨マイニング分野の穴を埋めてくれそうな期待もあります。
このブログを書いている時点でチャートはこんな感じですが、もうちょっと下がってくれないかな〜
数字は間違いがないように気をつけてはいますが、絶対ではありません。本ブログは投資を単なる趣味とする素人が書いたもので、内容は保証できません。投資は自己責任でお願いします。
株価好調のAmazonに死角はないのか? 自分でグラフを作ることの大切さ
(1)はじめに
まず最初に断っておきますが、私のポートフォリオの20%をAmazonが占めており、Amazonにはかなり期待しております。
皆さんがAmazonに期待していることは、それぞれ違うと思いますが、昨年から株価の好調が続いているのは、純利益の成長率が尋常ではないからだと思います。
↑Dec17期より前年同期比100%以上の成長率で、前回の決算では10倍以上をマークしてました。売上が予想を下回っても株価が下がらなかったのは、この驚異的な利益成長率が要因だったと思います。
↑希薄化後EPSの推移を見れば、Dec17期より著しくEPSが増えていることが分かります。
このグラフを見て私が思ったのは「では、今年のDec18期におけるEPS成長率はどれくらいになるのか?」ということです。
Dec17よりEPSが$3を超えてきて、翌年の数字のハードルが上がってきていると感じるのは、私だけでしょうか?
そこで今回、いろいろ想定をしてみて、一定の結論が得られましたので、ブログにまとめてみました。
(2)シミュレーション
↑Amazonの売上成長率ですが、ホールフーズの売上が加わったことで、Sep17期(3Q)より30%以上の成長率を誇っていますが、Sep18期(3Q)よりその下駄もなくなります。
前回の決算でSep18期(3Q)のガイダンスは売上成長率+23〜31%が提示されていましたので、その数字をもとにDec18期の売上を以下のように計算してみました。
(単位millions EPS除く)
↑純利益率は以下の直近の推移(以下の折れ線グラフ)より3〜5%の間で取ってみました。発行済み株式数(希薄化後)は直近の2Qの数字を用いています。
このような表を作ってみて気付いたのは、EPS成長率が100%以上をキープするには、純利益率5%が必須ということです。4%だとEPS成長率が60〜70%くらいになって、Amazonの今のPER約150倍(2018年8月14日現在)を支えきれないかもしれません。
(3)まとめ
今回のブログは「Amazonがやばい!」というつもりで書いたわけではありません。Amazonは顧客の利便性を追求するために、世界最大級の設備投資と研究開発費を使う会社であり、この先も長期間に渡って成長を続けてくれると思っています。ネットコールセンター事業のAmazon ConnectもAmazonの利益にかなり貢献してくれる事業に育つのではないかと期待しております(2018年後半に買収が完了予定のPill Packの2017年の売上は$100 million程度のようで、すぐにはAmazonの業績に影響を与えなさそうです【8月15日追記】)。
How Much Can Amazon's PillPack Acquisition Contribute To Its Overall Growth?
今回のブログの趣旨は、グラフを作るといろいろな気付きが得られますよね、ということです。最近のAmazon株価好調を受け、買い増ししようかなという思いが募ってきたので、自分がコツコツと作ってきたグラフを眺めていたところ、今回の気づきが得られました。
英語が苦手でも数字を拾うことはできますし、私はGuru focusの有料会員にあえてなって、四半期のデータをダウンロードしてグラフを作っています。
最後にDec18期に純利益率5%を達成できるか?の点についてです。私はできると思いますが、税率次第では達成できないかも...なので、今の株価水準での買い増しはお預けです。そして、小型グロース株を買おうと思ったら、ブログ書いているうちにいつの間にか上がっとるやん!(笑)
数字や計算に間違いがないように気をつけてはいますが、絶対ではありません。投資を趣味とする素人が書いたものですので、内容の保証はできません。投資は自己責任でお願いします。
アビオメッド社 Q1FY2019の決算発表 成長鈍化で株価急落 この先は如何に?
(1)はじめに
私の保有銘柄でImpellaという画期的なカテーテル型人工補助心臓を製造販売しているAbiomed社が7月26日に発表したQ1 FY2019の決算についてまとめておきたいと思います。
(2)決算内容
↑凄く良い数字なのですが、プレスリリースをよく読むと純利益が税制改革の影響で純利益が嵩上げされており、その影響を除くとEPSは$0.78となり予想の$0.82を下回ってました。
↑売上成長率が+36%(YoY)、営業利益率が26%で、前期よりもやや成長率が鈍化していました。
↑GAAPの純利益ではなく、税制改革の影響を除いた純利益の推移です。QoQでやや減少しており、成長率(YoY)が147%→76%へ鈍化していました。
↑こちらは税制改革の影響を除いたEPSの推移。
↑参考までにGAAPのEPSの推移です。
カンファレンスコールからの主な情報は以下のとおりです。
(3)ガイダンス
↑今年度の年間売上のレンジの下限が$740M→$755Mへ引き上げられました。成長率が+27〜30%で営業利益率が28〜30%となっています。
↑過去5年間の売上成長率(対前年比)の推移ですが、今回のガイダンスの+27〜30%は成長率が結構ダウンしますね。
↑赤の折れ線グラフが過去6年間の営業利益率の推移ですが、ガイダンスの28〜30%という数字は引き続き上昇していい感じです。
↑右下のU.S.の病院での普及度合いを見ると、使用が見込まれる1400病院中、主力製品のImpella2.5とImpellaCPが1200病院以上まで普及しています。より血液の送液量が多いImpella5.0と右心房に挿入するタイプのImpellaRPの普及率の上昇に期待したいですね。
また、Q2はシーズン的に医師の夏休み等で売上は良くないとのことでしたので、Q3もあまり期待できないかもしれません。
(4)まとめ
↑EPSがコンセンサスを下回り、成長鈍化も嫌気されて決算後は株価が−20%まで下がりました。
画期的な製品でライバル社もまだないためかなり期待が高かく、一時期はPERが165倍まで上がってました。今は株価も下がり、かつ税制改革のおかげで純利益が凄く伸びましたので現在はPER100倍です(2018年8月5日現在)。
今はやや盛り返してきてますが、50日移動平均線(赤線)を超えてくるかどうか、成長率が再加速する材料がないので、なんとも言えませんね。
成長率が再加速するポイントは
- Impella5.0、ImpellaRPの販売が伸びる。
- U.S.でImpellaを使用する患者数の伸びが加速する。
- 以下のように成長率が高いが、まだ売上比率が低いU.S.以外の地域の売上比率が上がってくる。
だと思います。
心筋梗塞等で緊急に血流を確保する場合、大腿動脈を体外のポンプに繋ぐよりも、カテーテル型人工補助心臓を大腿動脈から心臓内部に挿入して血液を送液した方が血液の流れが順行になり、心臓の負担が少ないと言われています。よって、製品自体は素晴らしく今後世界的に広まっていくと思います。
36th Annual J.P. Morgan Healthcare Conference Presentationより
http://investors.abiomed.com/static-files/43737399-6441-4306-905f-4875390eeae5
今回、インドで主力製品のImpella2.5とImpellaCPが承認を受けたと発表されました。中国でも承認を得ています。人口10億人を超える両国も心筋梗塞の患者が多そうですよね。
↑気になるライバルはSt.Judeの子会社であるThoratec社が開発した製品(商品名HeartMate PHP)がようやくEUで承認が取れたとのことです。アメリカではまだ承認取れていません。これから各国で承認を取り、医師に製品の性能と信頼性を認めて貰わないと広まりません。
日本では、アビオメッド社のImpellaが日本で承認を得たことを受け、医学会にこのような部会ができています。心臓外科医の方々がここでいろいろImpellaに関する情報を仕入れて技術をマスターして、徐々に広まって行くわけです。もうすでにアメリカの多くの病院で使われているアビオメッドのImpellaに追いつくのはまだまだ時間がかかると思います。
私はもしこの先、50日移動平均線に跳ね返されて、ダウントレンドに入ったら、タイミングを見て買い増ししようと考えています。
↑しかし、成長率が増々鈍化してPERが35倍まで落ちてしまうと、たとえEPSが+30%/年で成長を続けても、今の株価水準($377 2018年8月5日現在)で買ったら、5年間保有してもマイナスになることは覚えておいて下さいね。
数字は間違いがないように気をつけてはいますが、絶対ではありません。本ブログは投資を単なる趣味とする素人が書いたもので、内容は保証できません。投資は自己責任でお願いします。
↓アリババも見知らぬ他者が信用できない中国で、信頼を生むプラットフォームを作って大成功しました。ホリエモンもこれからの時代は信頼が大事と言っていますね。この本、お盆に読もうと思っています。
Amazon Q2 2018決算まとめ
総括
- 売上$52.89B(予想$53.37B)、EPS$5.07(予想$2.48)で売上が予想を下回った。
- AWSと広告事業のOtherの成長が利益を押し上げた。
- 売上高に占めるOnline stores以外のセグメントの割合が引き続き上昇していた。
- また、Cost of salesの割合が低下しているのも利益を押し上げている。
- Online storesの成長率が引き続き下がっていた(3四半期連続)。
- Q3のガイダンス
Net sales $54.0B〜$57.5B
(前年同期比+23%〜+31%)
営業利益$1.4B〜2.4B
(以下、作ったグラフを貼っておきます。コメントは1箇所しか付けてませんので、ご自由にAmazonの将来を想像してみて下さい)
↑売上高の内訳
↑ゼグメントごとの売上成長率(YoY)このOnline stores以外のセグメントの高成長がいつまで続くのでしょうか?
↑ゼグメントごとの売上高の推移(Online storesは除く)
↑Online storesの売上高の推移
↓成毛さんが書いたこの本、楽しみです。8月9日発売
長期間低迷していたBlackBerryがIoTデバイス向けのセキュリティ会社に変貌 株価は底打ちか?
(1)はじめに
今回も私の師匠からターンアラウンド銘柄としてBlackBerryが面白そうだと教えて頂きましたので、調べてみました。
BlackBerry(当時の会社名はRIM)といえばiPhoneが出る前に一斉を風靡していたスマートフォンで、政府機関も使用するほどセキュリティに定評があり、主に企業が社員に配布するビジネス向けで使われていました。
2007年1月にiPhoneが登場した時、タッチパネルの入力しづらさはもとより、バッテリー寿命とセキュリティ面でiPhoneはBlackBerryよりも劣っていたため、あまりライバル視していなかったようです。そんな見方とは裏腹にiPhoneは大ヒットし、2008年にはGoogleがアンドロイドOSを発表しました。
その後のスマートフォン市場はセキュリティよりも対応アプリ数の数が決め手となり、Appleは当初、BlackBerryと同様、厳密な管理でセキュリティ重視の方針でしたが、その方針をすばやく変更して今の繁栄を築きましたが、BlackBerryはセキュリティ重視で閉鎖的なOSとアプリの厳密な管理というやり方から脱却できず、シェアをどんどん落としていきました。
↑月足チャート 2007年にピークを付けた後は、株価は暴落し2012年以降は$10前後で長期低迷中
↑週足チャート 最近の底値は2017年春の$7台。
そんなBlackBerryもいつのまにか社名をRIMからBlackBerry(以下BB社)に変更して、得意のセキュリティ技術とBlackBerryで稼いた資金で買収した産業用OSのQNXという技術をテコに、これからのIoT時代に向けて着々を変貌を遂げています。
(2)BB社はどう変貌したのか?
スマートフォン市場のシェアをあっという間にiPhoneとアンドロイドに奪われて、創業者でここまで会社を成長させてきたCEOは株主から辞任に追い込まれ、その後の後を継いだ生え抜きのCEOも抜本的な改革が出来ずに2013年に更迭されました。
その後をプライベートエクイティ企業、米シルバーレイクのシニアアドバイザーを務めていた企業再生で実績があるジェン・チェン氏が引き継ぎました。
最初は新機種のスマホを発売してスマホ市場での復活を図りましたが早々と諦め、BB社が持つ技術が活かせる新たな市場の開拓に乗り出しました。
当初は、BlackBerry用のOSとして使うために買収した産業用OSのQNXですが、もともとカーナビなどの車載インフォテインメントのOSとしても使われており、そこに自社の持つセキュリティ技術を盛り込んで、自動運転化に向けて増々ハイテク化が進んでいる自動車業界へ進出しました。
私にはその技術力の良し悪しはよく分かりませんが、提携先を見る限り、主要プレイヤーの多くと提携しているので、その技術力の高さは業界から評価されているのだと思います。
↑BB社について、分かりやすくまとめられています。p3に提携先が図示されていてます。
提携先
アメリカ勢
フォード、自動車部品大手のデルファイ、エヌビディア、インテル、クアルコム
中国勢
百度、Byton(筆者が追加)
日本勢
↑自動車業界だけでなく、BB社全般については、いつも参考にさせて頂いているアメリカ部さんのサイトがとても参考になります。
↑こちらの本を読むと、百度は中国の国策事業「アポロ計画(AI×自動運転)」の中心を担っており、この計画もダイムラー、フォード、ヒュンダイ、ホンダ、ボッシュ、エヌビディア、インテル、NXP、ルネサンス、マイクロソフトなど錚々たる西側企業も参加していて、自動運転の技術では、単純な都市部道路での自動運転が可能なレバルに達していると言われています。
また、本書では自動運転には高速・大容量のデータを低遅延でやり取りできる次世代通信規格の5Gもキーとなると書かれています。自動車のセンサーで得た情報をリアルタイムでクラウドに転送してビッグデータとして活用するとともに、自動運転に必要な情報を車へ提供するやり取りが、安全な自動運転を実現するためには不可欠とされています。当然、セキュリティが重要となるのは言うまでもありません。
来年、GMが自動運転の車を発売する予定です。5Gについても米国では今年中にAT&Tとベライゾンが商用展開を開始する計画のようで、自動運転の時代はすぐそこまで来ています。
(3)BB社の現在の状況
①業績的にはまだ駄目な状態
↑2011年をピークに売上が凄い勢いで減少して、今は最低レベルの売上で、赤字の状態です。
↑2015年2月からの四半期ごとの推移ですが、ほとんど赤字の時が多い状態です。しかし、nonGAAPではNov2016年から黒字化していて、前回の決算では営業利益が$12M、純利益が$17M、EPSは$0.03と黒字化していました。
②ハードからソフト企業へ変貌し、粗利益率が大幅に向上
↑直近24ヶ月間の四半期のセグメントごとの売上の推移です。
青:セキュリティなどのソフト販売
緑:今はレガシーとなったスマホのBlackBerry関連の売上
黄:スマホのBlackBerryのサービス等の売上
青のセキュリティなどのソフト販売がの割合が大部分となり粗利益率が向上しています。
③ソフトウェアは3つのセグメントに分かれている
青:企業向けのメールなどの独自ソフトなどの売上。
黒:注目の産業用OS「QNX」関連の売上。
自動車向けだけではなく、鉄道や原発などでも使用されており、
この事業は子会社化されている。
橙:モバイルディバイス等のエンドポイントへのセキュアな
接続・管理を支援する技術のライセンス許与などの売上。
ここで注目なのが、先月発表されたQ1FT19の決算で青の企業向けソフトの売上が急落していたことです。これは会計上の計算方法が変更となったためで、企業向けソフトはサブスクリプションで提供しているものと永久ライセンスで提供している2種類があり、永久ライセンスの計上方法が変更となったためのようです。政府機関向けで永久ライセンスのものが多いらしく、カンファレンスコールでもこの点についての質問が集中していました。
その点以外の、QNX関連とLicence IPの売上高が更新されており、順調な成長を見せていました。ガイダンスではソフトウェア全体の売上成長はFY2019通年で8-10%成長。QNX関連は二桁台の成長を見込んでいるとのことでした。
↑日足チャート
前回の決算を受けて6月に急落した後、どこか有名サイトで買いの奨励が出たようで、7月19日に出来高を伴って急騰しました(赤矢印)。SeekingALPHAでのコメントも賛否両論盛り上がってますね。
https://seekingalpha.com/news/3371647-blackberry-jumping-3_7-percent-gain
(4)まとめ
↑エンドポイント管理でBB社を採用している企業。米の政府機関もとよりエクソンモービルを始め、有名企業が採用していますね。
↑Gartnerでも4つの部門で高く評価され、技術力は確かなのだと思います。
↑四半期ごとの営業CF(青)とフリーCF(緑)
まだ両方赤字ですが、前回の決算では特別項目を除くとフリーCFは$3Mの黒字だったようです。
↑四半期ごとの現金と現金同等物とカレントレシオ(流動比率)の推移
心配される資金繰りは当面問題なさそうですね。
↑長期負債の推移です。長期間低迷している割には意外と少ないですね。
これまで述べてきましたように、これからの自動車も含めて多くのディバイスが繋がるIoTの時代のセキュリティ技術を提供する企業としてBB社は今後の活躍が期待できるいいポジションにいると思います。
リスクとしては、当然ライバル会社も多いですし、ライバル競争に勝つために技術力のある会社を今までいくつか買収してきており、当然今後もその流れが続くと思います。
今まで紹介してきた急成長している企業と違って、今回はターンアラウンド銘柄で、当たれば利益は大きいですが、今後急成長するかどうかの不確実性が高い銘柄です。日本語のサイトでもBB社について書かれたものが沢山ありますので、テンバガー銘柄を当てたい人は、ぜひ調べてみて下さい(笑)。
今回も素人である私個人が調べた内容になりますので、間違いがないように気をつけてはいますが、内容は絶対ではありません。投資は自己責任でお願いします。
※BB社はカナダ企業ですが、業績の数字はすべて米ドルで表記しています。
BlackBerry Investors Information
↑BB社のIR情報
↑ツイッターで知りましたが、この本おすすめです。 自動運転化への動きがよく分かります。この本を読んでたので、BB社について教えてもらった時に、これは!と思って今回一気に調べました。
今度の決算は大丈夫? なぜ多くの人がAmazonに期待するのか!
1.はじめに
Amazonの人気が凄いですね。私のブログ(PVが少ない弱小ブログですが...)でも断トツでこちらのページが読まれています。
7月26日引け後がAmazonの2Qの決算発表になります。ここで一度立ち止まって、なぜAmazonの期待が高いのか?今度の決算発表ではどこに注目したら良いのかを自分なりに考えてみましたので、ブログにまとめておきたいと思います。
以下はアナリストでもなんでもない一個人投資家の主観的な考えになりますので、その旨ご了承下さい。
2.株価がブレイクし始めたきっかけは?
↑週足チャート
2017年10月26日に2017年3Qの決算発表がありました(赤矢印の部分)。そこから株価のブレイクが始まっています。
↑3Qでは売上成長率が今まで20%台だったのが、9ポイントも上昇して34%に跳ね上がっており、その後も売上成長率が上昇を続けています。ホールフーズを買収した効果が効いているのだと思いますが、それだけではないと思います。
↑Yahoo financeより
2017年3QよりEPSも予想を大きく上回って来るようになりました。
↑希薄化後EPSの推移
この日(Sep17=3Q)は売上は大きく伸びてましたが、EPSは前年同期比で成長はなかったです。しかし、次の四半期からEPSが大きく伸び始めまていました。
↑各利益の前年同期比の成長率ですが、直近2四半期の各利益の成長率(黄色部分)が前年(水色部分)と比較してぜんぜん違うのが分かると思います。
こんな訳で、投資家の期待が大きく膨らみ、株価が1.7倍まで上昇しているのだと思います。
3.Amazonで何が起きているのか?
↑年次ごとの売上高と売上高営業利益率と売上高純利益率の推移
Amazonの特徴はFAANGの中で利益率がダントツに低いことです。
17年は売上高$178Bに対して営業利益はたったの$4.1B、純利益は$3Bでした。
AmazonのECは価格も安いし、プライム会費をとっても沢山のビデオが見れたりして、サービスが良すぎるのでなかなか儲からないですよね。
また、同じプラットフォームで中古まで販売しており、私も高い投資本は必ず中古価格をチェックしてから買ってます。よって、Amazonは直販ECで利益を出すつもりはないと思いますね。
↑セグメントごとの売上高
直販EC=青色、マーケットプレイスの手数料収入=薄茶色、プライム会費や読み放題などの課金サービス=赤色、AWS=紫色、ホールフーズなどの実店舗=緑色、広告収入など=黒色、
Amazonの直販ECは儲かりませんので、利益の源泉は直販EC(青色)以外にあります。よく知られているのがAWSと呼ばれるクラウドサービス(紫色)です。決算資料によると営業利益率は24%(2018年1Q時点)です。それ以外のセグメントの利益率は公表されていませんが、直販ECよりも利益率は高いと思います。
↑各セグメントの売上成長率(前年同期比)
売上のメインである直販EC(青)の成長率がだんだん下がってきているのが驚きですね(笑)。
成長率が下がり続けていたAWS(紫)がまた盛り返してきているのと、広告収入がメインのOther(黒)が前回の決算で大きく伸びていたのが目を引きます。
総じて、直販EC以外は35%以上の高成長を続けています。
最近、Amazonで商品検索するとスポンサープロダクトと小さくかかれた商品がちょくちょく紛れ込んできます。これがAmazonのターゲティング広告です。写真はスノーピークという高級アウトドア用品メーカーの商品を検索したら、岩谷産業のガスバーナーが紛れ込んでました。
でも、口コミ数が396もあって評価が高い商品だと、目的外のものでもアウトドア好きならついついクリックして開いてしまうと思います。Amazonのターゲティング広告は効果が高いとの評判ですが、納得ですね。
Amazonの場合、自社のサイトでの広告表示ですので、Googleと違って場所代を払う必要がありません。よって、利益率はかなり高いはずですので、売上高に占める割合が低くても、薄利のAmazonの利益にはかなり貢献していると思います。
(ちなみに2018年1Qでは、全体の営業利益は$1.9B、広告収入が含まれるOtherの売上高は$2Bでした)
↑直販EC以外のセグメントの四半期ごとの売上高の推移(7月16日追記)
広告収入が含まれる黒のOtherの数字に今後も要注目です!
↑直販EC以外のセグメメントを合計した売上割合の推移
利益率が直販ECよりも高いその他のセグメントがしっかり伸びてきており、そのためにAmazonの利益もどんどん伸びているのだと思います。
4.まとめ
2018年2Q決算のアナリスト予想は、Yahoo financeのものだと以下のとおりです。
EPS $2.5(1.53〜3.09)
売上高 $53.42B(52.52B〜54.09B)
(前年同期比+40.7%)
(以下、2で掲載したものを再掲します)
まあ、直近の成長率を見る限り、妥当なコンセンサス予想だと思いますので、無事クリアしてくれるでしょうが、どうなるか今からドキドキしますね。
↑Amazonといえば、プレゼンテーション資料の最初に必ずこの文句が入っているのが特徴です。意味は「長期目標はフリーキャッシュフローを最大限利用する」。儲けはどんどん設備投資や研究開発費に投資するよということですので、裏を返せばEPSは気にしていないということです。
(ちなみにベゾスの夢は、将来地球が汚染されて住めなくなった時のために、宇宙コロニーを作ることです、笑。ベゾスが個人で所有している宇宙開発会社Blue Originは、来年一般人の宇宙旅行を実施するようですね)
たとえ、決算をしくじって株価が大きく下げたとしても、利益の源泉である直販EC以外のセグメントの成長に大きな変化がなければ問題ないと思います。
私はEBITDAの成長率に注目しています。
悪くても前年同期比+30%以上はキープしていてほしいですね。数字だと$4.47B以上。この意味がわからない人は、よろしければこのページの最初に紹介した私の過去のブログ記事を見て下さい。
Amazon - Investor Relations - Quarterly Results
こちらのサイトで四半期の決算資料が手に入ります。セグメントごとの数字は10QではないFinancial Resultという資料の最後の方に出てきます。
用いた数字について、セグメントごとの売上はAmazonの資料より、その他の数字はGurufocusのものを用いてます。数字に間違いがないように気をつけていますが、絶対ではありません。素人の一個人が書いたものですので、内容に保証はできません。投資は自己責任 でお願いします。
現在のポートフォリオと今後の見通し
1.はじめに
2018年も後半戦に入りました。個人的にはファクトセットなどが出している今後の利益成長率予想を見る限り、米国株は2018年1月末がピークだったと思っております。今後は相場も何かにつけてボラリティが高くなると思いますので、短期的な流れに惑わされないためにも、ここで現在の私のポートフォリオについて、今後の見通しをまとめておきたいと思います。なお、私の投資スタンスは中長期投資になります。
2.現在の保有株状況と収益率
↑ブログでは小型成長株をメインに取り上げていますが、保有株の28%は石油株です。
↑私のパフォーマンスの状況です。自慢できる成績ではありませんね(笑)。
原油価格が$50を切り始めた2015年10月からエクソン株(XOM)を買い始め、昨年はBPを買いました。その後原油価格は結構上昇し、BPは目論見通りの利益を上げていますが、エクソンは全然駄目です。シェールオイル企業を潰すために原油価格の下落を増産で補うチキンレースが失敗に終わって、OPEC諸国が協調減産が一番儲かると学習してくれたため、今後も原油価格は現在の価格前後で安定すると思いますので、引き続き保有していきます。現在は他のグロース株が下げた時に上がったりしてスタビライザー的な役割をしてくれています。
もう一つ特筆しなけらばならないのは、ドイツ銀行(DB)ですね。昨年1兆円にのぼる増資に成功した後に底値だと思って買い始めましたが、その後改革が上手く進まず低迷しており、株価も更に40%以上下がっております。個人的にはここが底だと思っていますので、投げずに保有を続けております(投資本によく書いてある駄目なパターンですね、笑)
3.特に期待している銘柄
(1)Amazon(AMZN)
Amazonを保有している理由は今後の利益成長を期待しているからです。
↑2018年Q1の決算で示された各セグメントごとの売上成長率です。
オンラインセールス(ピンク)の成長率は低くて、それ以外のセグメントの成長率が断然高いのが特徴です。
↑私が勝手に予想した3年後(2021年Q1、右側)の営業利益予想です。
3年後には営業利益率が3.7%→11%まで上昇すると予想しています(笑)。
各セグメントごとの利益率が公表されていないので、自分で想像するしかないのですが、各セグメントごとの成長率を過去の推移から見て今後3年間を予想して、計算してみました。大きく外すと自分が損をしますので一応、控えめに予想してあります。
現在のAmazonの株価は割高感があって上値が重い展開が続いており、今後の決算次第では大きく調整する展開もあるかと思っています(Amazonはかつて予想を大きく下回るEPSを出して何度も投資家を失望させて来た)。そんな時に保有し続けるかどうかの判断資料となるように、このような予想を立てています。
ちなみに、3年後私の予想どおりになったら営業利益は今の5倍になります。一応、以下の私のAmazon3部作のとおり、ある程度勉強した上での予想となりますので、無茶苦茶な予想ではないと思ってますがどうなるでしょうか(笑)。
↑週足チャート
(2)ロク(ROKU)
動画ストリーミングプラットフォームでAmazon Fire TVやGoogle chrome castを押さえて全米シェアNo1をキープしているROKUです。
ですが、AmazonとGoogleがライバルですので、投資家の期待感が低くGurufocusで見た現在のPERは17倍です(2018年7月7日現在)。
一つのプラットフォームでネットフリックスやAmazonプライムビデオなど沢山の動画が見れるのですが(もちろんそれらは有料)、ROKU channelという無料チャンネルを作ってTVのように動画広告を途中で流すチャンネルが大きな収益源となってきており、以下の業績を見ると期待感が高まります。
↑アクティブアカウントの推移
↑ストリーミング時間の推移
↑ユーザー当たりの売上の推移
↑週足チャート。IPO後の新高値を奪還すべく上昇中。
(3)アビオメッド社(ABMD)
画期的な新製品(インペラというカテーテル型の人工補助心臓)で業績が大きく伸びている人工心臓の老舗企業です。
↑インペラとはどんな物か知りたい方はこちらのHPに動画がありますので、ご覧になって下さい。
心筋梗塞などで倒れた時など、心臓の手術の際に使用されます。
現在はアメリカとドイツで主に使われています。日本では今年から本格的に販売されています。ドイツ以外の西欧諸国や中国、インドでも保健当局から承認は得られていますので、まだまだ売上は伸びると思いますが、その分投資家の期待も高くPERは165倍です(2018年7月7日現在)。このタイプの人工補助心臓をアビオメッドが発表したのは2008年頃ですが、その後ライバル製品が現れないのが不思議です。構造は単純そうですが意外と難しいのかもしれませんね。
↑業績の推移です。売上はもとより営業利益率が伸びてます。
↑過去5年間と1年間の各成長率です。素晴らしい成長率です!
↑割高な株価ですが、私はこのように過去の成長率から5年後のEPSを予想して、そこに控えめなPERを掛けて株価を予想してリスクとリターンを計算した上で今年の4月に買いました。その後素晴らしい決算を発表して株価がさらにブレイクし、もっと自信持って買っとけばと後悔しております(笑)。
↑週足チャート
4.その他の銘柄について
(1)ニュータニックス社(NTNX)
企業のITインフラ関連のハードとソフトを提供している会社で、以前はHyper-Converged Infrastructureと呼ばれる仮想化のソフトをセットにした機器をメインで販売していましたが、利益率低下を嫌ってソフトメインのSaaSへシフトし、利益率が向上してきました。他のSaaS企業と比べて成長している割にまだ割安感があるので買いました。
↑前回の決算内容は良くなかったですが、Conference Callによると半年ごとのプロジェクトを敷いているようなので次回の決算に期待してます。
↑日足チャート
(2)スプランク(SPLK)
私の師匠がスプランク安いよねと言っていたので、昨日のタイミングで買いました(笑)。PSRで10.6倍です(2018年7月7日現在)。
↑日足チャート、ボックスの下限を形成したと思い出動しました。
↑いつも参考にさせて頂いているアメリカ部さんの記事によると、セキュリティー分野とデータ分析という今後も成長が期待できる分野でリーディング的な位置にいる企業であり、かつFCFが十分ありますので、相場環境が悪化しても小型グロース株の中では下落耐性があるかなと思って保有しました。
(3)ドイツ銀行(DB)
潰れてEUに大混乱を起こすのではないかと噂されている欧州第2位の銀行ですが、決算内容を見る限りそこまで悪くないと思って保有し続けています。一応この春に3分の1は損切してます。
中国のHNA(海航集団)の王健会長が転落死 ヒルトン、ドイツ銀はどうなる? - Market Hack
↑先日このドイツ銀行の大株主である中国企業の社長が死んだニュースが出た時は、大幅下落するのではないかとドキドキしましたが、なぜかその後、株価は大幅に上昇しました。
JPモルガンと中国の銀行がドイツ銀行株を引き受けるとの噂が出たためですが、昨日JPモルガンは否定の声明を出してます。しかし、その後も株価はあまり下がらず結局+3%で引けました。なぜでしょうか?
私の個人的な予想だとそろそろドイツ政府が動くのではないかという期待感が出てきたのではないかと感じてますが、どうなのでしょうか(笑)?
↑日足チャート
5.まとめ
今後、市場環境が厳しくなると見て、成長分野でリーディング的な企業をできるだけ安く買うことを心がけています。Amazonとアビオメッド社は、今後の利益成長を自分なりにシュミレーションして割高でも買いました。ボラリティが高くなると自分の信念が問われますので、振るい落とされないためには、これから増々企業分析の努力が大事になってくると思います。
また、キャッシュポジションを一定割合持つことも心がけています。今年は貯めた日本円もドル転せずにとってあり、今後大幅な円高が来た時にドル転しようと思っています。キャッシュがあると相場が大きく下げた時に「買い場が来た!」と思えて、精神衛生上、非常に助かります。
まあ、こんな感じで成長株に偏らないように、不景気にも強いと言われる石油株も一定割合保有しつつ、できるだけ安全運転を心がけて、これからも米国株の世界で生き残って行きたいと思います。
ここで掲載している業績や予想の数字は間違いがないよに気をつけていますが、絶対ではありません。投資は自己責任でお願いします。
混迷のアドテク業界から一つ抜け出したThe Trade Desk社
(1)はじめに
私事ですが、もう10年近くテレビを持ってません。たまに実家に帰った時にテレビを付けますが、つまらなくて暫くして消してしまいます。家ではもっぱらAmazon Primeで米国のドラマ見てます。
今ハマっているのはこれです。画期的なファイル圧縮技術を開発した青年が会社を立ち上げるドタバタ劇を下ネタ満載のコメディドラマに仕立てたもので、面白い上にスタートアップ企業が直面する様々な問題が盛り込まれていて、投資家目線でもとても参考になります。
このように消費者の行動が変われば、広告を出す場所も変わるわけで、IDCの調査によると2017年のデジタル広告は12%の伸びで、その中でもプログラマティック広告は+28%だそうです。見ている人の属性を細かく分けて、その人が興味を持っている分野の広告をピンポイントで打てるのはかなり効果的ですよね。
ネット広告には、広告場所を提供する側のプラットフォームと(SSP)と広告主に広告場所を分配するプラットフォーム(DSP)の2つのプラットフォームがあります。
例えば私があるサイトに入れば、SSPを通じてDSP側へ広告出稿のリクエストが私の情報と共に入ります。私に対して広告を見せたい出稿者がオークションにより決められ、そのサイトに広告が表示されます。ほんの短時間のうちにこれだけのことが行われているようです。
私が興味を持っている分野の広告をどれだけの出せるか、また、広告出稿者が希望する属性の人にどれだけ広告を出せるか、Advertising Technology(アドテク)企業の技術が大きく左右します。
そんなアドテク業界では様々な企業が乱立しました。しかし、最近はその技術革新が頭打ちとなり、まだアドフラウドと呼ばれる不正(だれも見ていないサイトに広告を配信して広告収入を上げること)問題などもあり、アドテク業界の成長は一旦止まって、主な企業の株価が低迷しました。
↑上場しているルビコンプロジェクトというアドテク企業の週足チャート
低迷した原因の一つに、アドテク社がSSPとDSPの両方を抱えて、自社が抑えている広告スペースに引きづられて、広告出稿者にとってベストな広告スペースを提供できない問題がありました。
そんな状況のアドテク業界で、5月に目がさめるような決算発表を行い、株価がブレイクしている企業があります。
今回、このThe Trade Desk(TTD)という会社について調べてみました。
(2)The Trade Desk社とは?
The Trade Desk社(以下、TTD社)は自社の立ち位置をDSPオンリーにして、一方的な技術開発に専念し花が開きました。
例えば、いろいろな条件の広告スペースに簡単に沢山の広告を打てる技術を開発し、その広告効果をすばやくフィードバックすることで、効果的な広告戦略を打てるようにしたり、広告主が持つ顧客情報を分析して効果的なデジタル広告を打つ技術などを売りにしています。
また、広告スペースを持ってないため、広告主にとってベストなオムニチャンネル戦略を提案できるとともに、世界20カ国に支店があり、企業のグローバルな広告戦略にも対応できる強みがあります。マツダが今TTD社を利用しているようです。
↓こちらの記事によるとDSP市場はGoogleとAmazonの2強が圧倒的な人気度で、他のDSPアドテク企業を追いやっているようです。その二極化市場の中で、唯一シェアを落とさずに頑張っているのはTTD社になります。
↓TTD社は2017年9月にコネクテッドTV向けのターゲティング機能をリリースしましたが、この前の決算ではそれが前年同期比21倍という凄い勢いで伸びてました。
↓前回のQ1 2018決算ですが、コネクテッドTV分野以外にもモバイルビデオ分野+100%、モバイルIn-App分野+100%、オーディオ分野+650%と凄い伸びを見せておりました。この数字を見ると、この会社の技術力は凄いのかなと思いますね。
Mobile Video grew nearly 100% from Q12017 to Q12018
Mobile In-App grew nearly 100% from Q12017 to Q12018Connected TV grew over 2,000% from Q12017 to Q12018
Audio grew over 650% from Q12017 to Q12018
↑この数字も Connected TVの2,000%は間違いないのですが、企業のHPとearning callの内容が記載されたプレゼンテーション資料で、上の2つの数字が違うのが気になりました。今回は低い方の数字を引用しました。
(3)業績の推移
※数字はすべてGuru focusより引用
↑売上成長率も年々落ちてきますが、まだ+52%あります。
↑四半期ごとの売上成長率(前年同期比)ですが、今年のQ1では41.8%→60.6%へ久々に急上昇してましたね。この傾向が続くかどうかが大きなポイントです。
↑売上に占める各営業費用の割合。Sales Marketing費用の割合(水色)が下がってきているのはいい傾向だと思いますが、全体の営業費用の割合(赤線)は、技術開発や管理費の割合が伸びているため、上昇傾向にあります。
↑EPS(希薄化後)の推移です。TTMは直近連続12ヶ月の意味になります。
↑四半期ごとのEPS(希薄化後)の推移です。
(4)まとめ
前々回で取り上げたROKUについて調べている時に、アドテク企業のTTD社について知り、とても気になっていました。ad technologyは専門用語が難しくて、途中で調べるのを諦めましたが、今回じっくり研究してみました。
日本でもアドテク企業は沢山あり群雄割拠の分野で、その中にはGoogle、FB、Amazonという巨塔も含まれる非常に競争が激しいセクターです。しかし、個人情報の問題やフェイクニュース、アドフラウドなど様々な問題を抱えているセクターでもあります。
企業がブランド戦略を行う上で、どのHP上に広告を出すかは非常に重要ですが、今まで出稿した広告がどのサイトに乗せられているか広告主が分からないなど、技術的に未熟な所がありました。広告場所を提供するSSPを抱えているアドテク企業では、どうしてもそのような面が生まれてきてしまいます。
そのようなアドテク業界の中で、広告主の立場に立ってDSPを提供することに専念して、優れた技術的を磨いてきたTTD社は、Q1 2018決算において、下落傾向であった売上成長率を見事に復活させて、再び売上成長率を伸ばしてきました。セグメント別ではコネクテッドTVが前年同期比21倍と驚異的な伸び示したのが、目を引きました。
この企業が残念なのは業績開示が不親切なことです。大概の成長企業はプレゼンテーション資料で業績をグラフ等で表して、自社が成長していることをアピールしているのですが、この企業にはそのようなものがありません。各セグメント別の売上等も開示されていないので、コネクテッドTV分野が今後の売上成長にどれほど影響を与えるのか分かりません。
今まで成長率が鈍化傾向だったので、そのようなアピールが出来なかったからかもしれませんので、Q2以降の動向に注目したいと思います。ちなみに、Q1でのガイダンスは以下のとおりで、Q2の売上成長率は前年同期比で+41%です。Q1の+61%を大幅に下回ってしまいますが、保守的なガイダンスで蓋を開けてみたらビックリになる期待感もあります。ただ、PERが70倍以上あってこの業績の成長率にしては割高感もありますので、どちらにしてもQ2まで様子を見ても遅くはないと思います。
Second Quarter 2018:
- Revenue of
$103 million - Adjusted EBITDA of
$30 million Full Year 2018
- Revenue of at least
$433 million - Adjusted EBITDA of
$133 million or about 30.5% of revenue
このような企業分析のブログを書くのに非常に時間がかかります。でも、ブログでまとめるといろいろなことが気になって、最終的に多面から分析することになり、投資判断の精度が確実に上がると思います。ブログにまとめる前はこの企業の株を買う気満々でしたが、最後まとめを書いている時に、やっぱり微妙だなという気持ちになって、様子見することにしました。さて、結果はどうなりますかな?
AI時代に期待される革新的なストレージで急速に伸びているPure Storage社
(1)はじめに
成長株に投資する際に気をつけなければならないのは、高値掴みをしないことです。だれが見ても良い銘柄はバリエーションがすでに高くなっています。成長株で割安な銘柄を見つけるのは大変ですが、今回私の師匠よりPure Storage社(PSTG)が急成長している割にはとても割安だと教えていただきましたので、調べてみました。割安に放置されている成長株の場合、みんなに気づかれていないか、もしくは何か懸念事項があるかのどちらかだと思います。前者を見事に掴めば大成功、後者を掴めば大失敗とハイリスク・ハイリターンな投資になりますので、時間をかけて調べてみましたが、大した懸念事項もなさそうでしたので、今回ブログにまとめてみました。
(週足チャート)
(2)Pure Storage社とは?
オールフラッシュのストレージを提供している会社で、データの出し入れのスピートはもとより圧縮や重複排除技術に定評があります。
↑Gartner 2017 Magic Quadrant for Solid-State Arrays
Gartner社の2017年の評価では、Solid State Array部門(SSDを整列させた大規模記憶装置という意味)でPure社はもっともリーダー的な企業として評価されていました。4年連続だそうです。
https://www.purestorage.com/jp/microsites/gartner-mq-2017.html
オールフラッシュは速さが大きな特徴ですが値段が高価で、またエラーが発生しやすく、書き込み回数にも制限があるというデメリットがありました。Pure社はそこにブレークスルーを起こし、従来のHDDストレージと同程度の価格で、より早く、同じ容量でも圧倒的に設置スペースが少ない製品を売り出しました。
エラーが発生しやすい点については、ストレージOSでカバーする仕組みを他社に先駆けて開発し、書き込み回数にも制限がある点についても、業界トップレベルのデータの重複排除と圧縮技術により、SSDへの書き込みを徹底的に削減し、SSDの寿命を延ばしています。
Pure社の保守サポートも画期的で、保守費用が年々上がらず、ずっと一定料金で使えるサービスを提供しています。Pure社のストレージOSが異なるSSDを混在させても制御できるから、このような一定料金のサービスを提供できるようです。
低価格で10年使えるオールフラッシュストレージの秘密を徹底解説
ビッグデータを扱って、ディープラーニングを行う分野では、Pure社のような高速なストレージが向いており、NVIDIAと提携してAIRI AI ソリューションという一体型のAI向けインフラストラクチャを提供していることです。
PURE STORAGE と NVIDIA による統合ソリューション ― AI の大規模運用を可能に
(Pure Storage社HPより引用)
つまり、Pure Storage社はAIというゴールドラッシュが起きようとしている時に、NVIDIAと並んでスコップやツルハシを提供している会社になります。(NvidiaはPure社のライバルであるNetApp社と組んで同様な製品を出してますので、Pure社だけと組んでいるわけではありません)
あらゆるところにセンサーが張り巡らされ、IOT時代になると今以上に膨大なデータが蓄積、AI等で解析され活用されるようになります。メルセデスのF1チームでPure社のストレージを使っていますが、車体にとりつけられたセンサーから得られる、空気の流れやタイヤの温度といった様々なデータを、レースの限られた時間の中で分析しなければならないスピード感が要求される現場でPure社の高速ストレージが活躍しています。AIのディープラーニングの分野では高性能のGPUが登場したことにより、データを保管しているストレージのスピードがボトルネックとなっていましたが、ここでもPure社のストレージが優位に立っています。
先のガートナー社の調査で上位に来ていた企業の売上成長率を比較してみました。この中でNetApp社がPure社と同じストレージ専門企業ですが、ここ3年間、売上があまり成長していませんね。Pure社の成長率が際立っています。如何に革新的な製品を出しているか、ここから伺えます。
(3)どれくらい割安なの?
クラウド関連のインフラ的ソフトウェアを提供しているNutanixと、年間の売上高をはじめ、3年間の売上成長率やグロスマージン、FCFマージンが似ていましたので、比較してみました。両者とも3年間のトータル売上成長率が年率80%もありますが(最近は両社とも40%まで落ちてきています)、まだ赤字企業ですのでPSRで比較すると、Nutanixが9.93倍、Pure社が4.94倍でNutanixの半分のバリエーションでした。しかも、Net MarginはNutanixの方が赤字幅が大きいです。
Nutanixは今人気のSaaS企業(サブスクリプション型のソフト企業)、Pure Storageはハード企業になりまりますので、Nutanixの方がバリエーションが高くなるのは分かりますが、それにしても成長率とグロスマージンが高いわりにはPura Storageは評価されていないような気がします。
ちなみに同業他社比較では、PSR5倍で断トツですが、売上成長率を加味すると、とても割高だとは言えなさそうですね。
(4)業績の推移
↑2年前からの四半期ごとの売上の推移です。売上に季節性があり、Q1が低くてQ4が一番高くなっています。
↑四半期ごとの売上成長率(前年同期比)です。一番右のApr2018をFY19 Q1と読み替えて遡って下さい。成長率も下げ止まって、前回の決算では31%→40%と成長率が伸びていました。昨年同様、この先も成長率が伸びていくかどうかが一つのポイントだと思います。
↑ハード企業の割にはグロスマージン(黒の折れ線グラフ)が65%以上をキープしているのが凄いと思います。この企業の特徴の一つです。
↑営業利益(NonGAAP)の推移です。昨年はQ3、Q4において黒字化し、今年のQ1は昨年に比べて赤字幅が縮小していました。この先Q2、Q3と続くに連れて右肩上り具合がどれほどになるか注目すべきポイントの一つです。
↑FCF(NonGAAP)の推移ですが、下は特別項目(訴訟関連費用)を抜いた数字になります。特別項目を抜けば今年のQ1も黒字化していましたね。この数字も評価されるポイントの一つです。
↑売上に占める各営業費用の割合の推移ですが、前年同期比で着実に下がっていっています。よい傾向ですね。
負債関係では、今年のQ1に$430Mの転換社債を発行し、はじめての大規模な長期負債が発生しましたが、DEレシオは0.68倍と大したことはありません。Current ratioも4倍以上あり、資金繰りも問題ありません。
https://s21.q4cdn.com/687136699/files/doc_presentations/2018/Earnings-Slides-(Q1-FY19)-PDF.pdf
(Q1 2018決算プレゼンテーション資料)
(5)まとめ
今回、革新的なオールフラッシュによるストレージを販売して、同業他社に比べて大きく売上を伸ばしているPure社についてまとめてみました。スピードが早く、データ圧縮性能も高くて従来よりも省スペースでしかも低価格。業界の常識を破る定額制の保守サービスも提供し、ストレージ分野で革命を起こしている企業です。Dell、IMB、HPEから追われる立場ですが、AI技術が発達するに連れ、データの重要性が増々高まり、データの蓄積量も今後大きく伸びることが期待されますので、今後も成長を続ける注目すべき企業だと思います。
そして成長率、粗利益率(グロスマージン)を考慮すると、他の分野の企業と比較したら割安感があると思います。ハードは儲からないというイメージがあるからでしょうか。
最後に余談ですが、SDDはフラッシュメモリがベースで構成されており、フラッシュメモリは東芝が発明したものです。ITのハード関連は日本の得意分野だと思いますが、AI時代にこれから増々必要とされるオールフラッシュストレージ分野で、ガートナー社の評価において日本の企業が上位に来ていないのがなんとも寂しい限りです。
2018.6.16追記
Q1 2018の決算で発表された次期のガイダンスです。
急成長のconnected TV digital adsで恩恵を受けるROKU 株価のブレイクはこれから?
1.はじめに
5月10日に広告会社にDSPを販売しているThe Trade Desk社(TTD)の決算発表がありました。(DSPの意味については以下を参照して下さい)
いまさら聞けない「DSPとは?」~基礎知識編~ | Urumo!
この会社自体も急成長しているのですが、その中で目を引いたのは、以下の赤字の部分です。
Mobile Video grew nearly 160% from Q12017 to Q12018
Mobile In-App grew nearly 110% from Q12017 to Q12018Connected TV grew over 2,000% from Q12017 to Q12018
Audio grew over 650% from Q12017 to Q12018
Press Releases | Investor Relations | The Trade Desk
Connected TVの広告枠の売上が凄く伸びてます。今FBを始め、いろいろなサイトで動画広告が流れますが、一番効果的なのはストリーミングTVではないでしょうか。特にアカウントでその人の属性や好みが分かってますので、従来のTVのように時間帯に関係なく、常にベストな広告を流すことができます。それにしても、前年比で21倍の伸びという数字は凄いですね。
2.Media Streamerで人気を誇るROKU
日本ではGoogleのクロームキャストやAmazon Fire TV、Apple TVなどがありますが、米国で人気を誇っているのはROKUです。
多数のチャンネルを見られるのが、ROKUの魅力の一つです。
↑これは見られるチャンネルのごく一部で、ROKUのサイトを見るとインド映画はもちろんのこと、インドのNEWS専門チャンネルとかマニアックな分野までカバーしていました。
もちろんROKUでネットフリックスを見ようと思ったら別途料金を支払う必要はあるのですが、このように一つのディバイスで多数のチャンネルが見れるようにすることで、米国においてストリーミングTVのプラットフォームを築き上げて来ました。
↑アクティブアカウント数の推移ですが、ここ3四半期では前年同期比+約45%前後のペースで伸びています。
↑ストリーミング時間の推移ですが、同様に+55%位のペースで伸びています。
↑1ユーザー当たりの売上(ARPU)の推移ですが、前年同期比の伸びが右肩上がりで乗りに乗っている感じですね。
3.ROKUの収益源と業績の推移
昨年の秋には、無料で映画が見れる代わりに、従来のTV映画のように途中で広告が入るROKU独自のチャンネルを始めるなど、着々とプラットフォームからの広告収入を増やしてきています。
↑Q4はクリスマスの影響がありましたので装置の販売も伸びてましたが、18年のQ1では装置の売上を広告等の売上が上回りました(装置の売上に関しては競争が激しいため価格が低下していて、売上が前年同期比でマイナスになっている影響もあります)。
↑Gross profit(粗利)では断然、青の広告等の方が多いですね。広告等のグロスマージンは7割以上あります。
↑全体のグロスマージンは18年Q1で46.2%まで上昇していました。
↑各営業費用の売上に占める割合の推移です。ライバルとの競争度合いを計り知ることができるSales and Marketing費用(緑)の割合は、ほぼ横ばいですね(Q4はクリスマスの影響で一時的に売上が伸びていた関係で、各割合は減っています)。
↑もうすぐクリスマスシーズン以外の季節でも黒字化しそうな所まで来ています。
↑希薄化後EPSも同様です。
4.まとめ
急速な成長が始まったConnected TV分野における広告において、動画配信サイトで今一番注目されているネットフリックスは広告を入れてませんので、いい位置にいるのがROKUだと思います。前回の決算を見る限り、その傾向が見て取れます。
昨年の秋のIPO後、株価は一旦ブレイクした後、空売りで有名なシトロン・リサーチ の空売り宣言のせいで、一旦大きく下げました。そのシトロンが先週の金曜日に、空売りをやめてロングに入ったとツイートして、株価は7%あまり上昇して復活のきっかけを掴みつつあります。
www.nikkei.com(有料会員限定記事になります)
また、日経の記事には、シトロンがネットフリックスがロクを買収する可能性にも言及したと書かれています。AT&Tも動画配信を目論んでいるようですが、後参入組にとってみたらROKUは喉から手が出るほどほしい会社なのではないでしょうか。
ネットフリックスは「三日天下」か (写真=ロイター) :日本経済新聞(有料会員限定記事になります)
ただ、現状はAmazonやGoogle、Appleなどの巨大企業から追い上げられている立場にあるので、その後の株価の動きは微妙な感じです。
非常に沢山の動画プラットフォームが出来て、チャンネル争いは激しさを増しています。これを書いている現在(5月31日未明)も中国の動画配信サイトのiQiyi(IQ)が8%以上の上昇をしています。その中で、ROKUは多数の動画配信サイトを束ねて一つのプラットフォームで見れるという美味しい立ち位置の分野で、AmazonやGoogleを抑えてトップの位置におり、急速にアクティブアカウント数、ストリーミング時間数、ユーザー当たりの売上を伸ばしています。
しかも、直近の12ヶ月のEPSを合計して計算したPERは14倍、PSRは1.37倍と注目されている分野で急成長している割にはかなり割安なので、私は非常に期待しているのですが、その割には株価の動きがもっさいりしています。私の目論見は間違っているのでしょうか?
なにか落とし穴があるのかな(笑)
https://ir.roku.com/static-files/8b04826b-95a6-49c4-82a6-c3e6ffa30f25
(↑ROKUの18年Q1の決算資料)